バネ式入れ歯の問題点

バネ式入れ歯の問題点

 〈バネ式入れ歯の問題点〉

皆さんが歯を失って入れ歯を選択せざるを得ない場合
ほとんどの歯科医院は保険適用の入れ歯、ノンクラスプデンチャー、インプラントの選択肢
を患者さんに提示します。
今回は保険適用の入れ歯についてご説明したいと思います。

保険適用の入れ歯の部分入れ歯は歯が欠損している部位をピンク色の土台部分の床(しょう)に人工歯を並べて噛み合わせを作ります。そして残っている歯にクラスプと呼ばれる金属のバネを引っ掛けて入れ歯が外れないようにします。

保険適用の入れ歯のクラスプは針金をペンチのようなもので曲げたワイヤークラスプと鋳型で鋳造するキャストクラスプがあります。
ワイヤークラスプは歯に接触している面積が小さいので噛む力によって変形しやすいので入れ歯が動きやすくなりクラスプのかかっている歯が揺さぶられるため歯もだめになります。

キャストクラスプはワイヤークラスプに比べ歯に接触してる面積が大きく鋳型で作られるためフィット感があります。ただしこのクラスプも歯を揺さぶるため歯がだめになります。

ピンク色の土台部分の床(しょう)はプラスチック素材で煮物のようにプラスチック素材を流しこんでお湯で固めます。
プラスチック素材はご存知の通り強い力で変形したり割れますので床はある程度厚みをもたせないといけません。
床が厚いと食べ物の味の感じ方、温度の感じ方が鈍くなりやすいです。
薄くしたくても噛む力はご自分の体重以上かかりますから床をむやみに薄くできません。

また前歯だけ4本残っている、左右の奥歯1本づつと前歯4本が残っているなど残っている歯の場所やその歯の状態、ぐらついているのか、しっかりしているのか、神経の無い歯なのかなどを考慮して本来は入れ歯の設計するのですが保険適用の入れ歯の場合はプラスチック素材しか使用できないので床にヒビが入ったり、割れたりします。
床の部分は力のかかる方向によってたわみがでますのでそのような場合は金属にするなどその力に耐えられる素材を使用します。

このように保険適用の入れ歯は国が決めたルールの範囲内でしか作れません。国のルールでは入れ歯を作ってから半年経つと新しい保険適用の入れ歯が作れます。言い換えれば保険適用の入れ歯は半年しかもたないような安い材料で作られているということです。

皆さんが入れ歯にするときにご参考になれば幸いです。

 

  

 

筆者プロフィール

著者

イーストワン歯科本八幡
東 郁子

■経歴
  • 平成6年 鶴見大学歯学部 卒業
  • 平成7年 鶴見大学付属病院研修医 修了
  • 平成7年 都内の歯科医院 勤務
  • 平成30年 イーストワン歯科本八幡 開院
■所属学会/スタディグループ
  • ●IPSG包括歯科医療研究会
  • 第2回咬合認定医コース受講 咬合認定医 取得
  • 総義歯の基礎と臨床 受講
  • 顎関節症ライブ実習コース 受講
  • パーシャルデンチャーとテレスコープシステム 理論と実習コース 受講
  • 咬合治療の臨床 受講
  • ●日本臨床歯科医学会
  • レギュラーコース 受講
  • ●顎咬合学会