多くの方が気にする上の入れ歯の厚みについて

多くの方が気にする上の入れ歯の厚みについて

上の歯を失った場合その本数が多いと上顎の大部分を床(しょう)と呼ばれる通常はピンク色の歯茎と同じ色をしたプラスチック素材で覆います。
ここを覆うことで入れ歯が落ちないようにまた嚙む力を受け止めるために厚みも必要になります。

上の写真は真ん中が覆われていません。入れ歯はこの真ん中のの部分が重要です。左右の奥歯で噛んだ力は垂直方向以外に外側に引っ張られる方向にも力がかかるのでバネがかかっている入れ歯を支えている歯にも同様な方向に力がかかります。それに対抗し歯を守るために真ん中の部分が必要です。写真の入れ歯では噛む度に左右に動いて噛めません。

奥歯が左右とも4本欠損していますが手前の1本に金属のバネが掛かっており患者様はうまく噛めないと来院されました。
これでは前述のとおり噛む度に左右に入れ歯が揺れてしまって力が入りません。
奥歯で噛めないのでご自分の前歯で噛むしかなく前歯が異常にすり減っているのがわかります。
前歯の茶色い部分は歯の最表層のエナメル質ではなく虫歯でもなく象牙質です。

すり減った前歯も治療し上顎を覆った入れ歯を作りました。噛めるようになったとおっしゃっていました。
しかし厚みが気になるとおっしゃっていましたが保険適用の素材では薄くすることは不可能です。
薄くしてしまうと

このように割れてしまいます。
頑丈でなるべく薄くするには

このように金属にすると厚みは気になりません。(保険適用外です)

入れ歯はただ歯が無いところに歯を並べれば良いわけではなく残っている歯の位置や残っている歯の状態、欠損部にかかる力や方向を考慮して入れ歯の設計をします。ただし保険診療ではこのようなことを加味した設計や入れ歯を作ることは残念ながらできません。

 

     

 
 

筆者プロフィール

著者

イーストワン歯科本八幡
東 郁子

■経歴
  • 平成6年 鶴見大学歯学部 卒業
  • 平成7年 鶴見大学付属病院研修医 修了
  • 平成7年 都内の歯科医院 勤務
  • 平成30年 イーストワン歯科本八幡 開院
■所属学会/スタディグループ
  • ●IPSG包括歯科医療研究会
  • 第2回咬合認定医コース受講 咬合認定医 取得
  • 総義歯の基礎と臨床 受講
  • 顎関節症ライブ実習コース 受講
  • パーシャルデンチャーとテレスコープシステム 理論と実習コース 受講
  • 咬合治療の臨床 受講
  • ●日本臨床歯科医学会
  • レギュラーコース 受講
  • ●顎咬合学会