【歯がすり減ってしまったらどのように治療するの?】現役歯科医師が解説します!

【歯がすり減ってしまったらどのように治療するの?】現役歯科医師が解説します!

歯のすり減りは痛みがなければご自分では自覚することはないでしょう。

しかし皆さん、痛みや詰めていた金属が何度も外れてくるようになると歯科医院で指摘され自覚するようになります。

この記事では歯の異常なすり減りをどのように治療していくのかを解説します。

目次

1章:歯のすり減りに伴う現象

1-1:歯のすり減りを治療する難しさ

1-2:歯のすり減りの治療の流れ

1-3:まとめ

1章:歯のすり減りに伴う現象

ご自身では気が付かない歯のすり減り。ではどのようなことが起こったときに歯科医院で指摘されるのでしょうか?

歯の噛む面(咬合面といいます)が異常にすり減って
*歯がしみる
*被せ物や詰め物がとれやすい
*噛みにくい
などの症状はありませんか?

 

 

この写真のように歯のすり減りが進行すると「歯がしみる」「特にレタスなどの葉物が良く噛めない」「詰め物や被せ物がとれやすい」などの症状があり歯科医院を受診すると歯のすり減りを指摘されます。

歯のすり減りがさらに進むとお顔の鼻の下から顎の先端までの距離が短くなるためお顔の印象が変わります。
さらに顎関節症の発症など色々な問題がでてきます。

1-1:歯のすり減りを治療する難しさ

歯の病気は虫歯や歯周病だけではありません。虫歯と歯周病の原因は細菌です。細菌が悪さをするものだけが病気ではないのです。

歯のすり減りは細菌によるものではないので皆さんは虫歯じゃないと診断されると安心するかもしれません。

「虫歯、歯周病でないのならこのままでいいや。」と放置することでしょう。

そして多くの歯科医院ではマウスピースの使用を勧めるかもしれません。

しかし残念ながらこのすり減りは多くの場合、マウスピースをしても治りません。

すり減った原因や骨格的な問題があるのかなど診査がとても重要になります。

場合によっては歯を抜かないとかみ合わせが作れないこともあります。

従ってかみ合わせが正常で1本の軽度な虫歯治療より虫歯はないけど歯が全体的にすり減っている治療の方がとても難しいのです。

1-2:歯のすり減りの治療の流れ

全ての歯科治療の目的は虫歯や歯周病だけを治すことではなく食事をするためにきちんと不具合なく噛めることです。

「虫歯じゃないなら健康な歯を削るのは嫌です」とおっしゃる方がいらっしゃいますがすり減って噛めない状態も病気のひとつなのです。

歯のすり減りの治療の流れをご説明します。

1:口内の検査

  レントゲン撮影、口内と顔貌のカメラ撮影、歯周病、虫歯の検査を行います。

2:かみ合わせの検査

  歯型を採り模型を作製しかみ合わせを診るための器械に取り付け検査します。

  ここでは歯を抜かずに治療できるか歯列矯正が必要かなど診断をします。

3:模型上でシュミレーション

模型にワックスを用いて歯の形を作ります。ワックスでシュミレーションして全体的なかみ合わせを作ることが 可能かどうかを診断します。

4:仮の歯を作製

歯に被せ物をすることで治療ができると診断が確定した場合、仮の歯の作製をして口内に装着してひとまず経過を見ていきます。

5:最終的な被せ物を作製

仮の歯が使用中に外れず、壊れず、痛みなどがないことを確認後、最終的な被せ物を作製し装着します。最終的な被せ物はその方のかみ合わせに合った材料を選択します。

6:年に数回のメインテナンス

歯の病気は自然治癒はできません。骨折した場合、固定して骨が折れた部分に骨が添加することで治ります。

例えば虫歯は細菌が歯を溶かして穴が空いてしまいますがその穴を歯が添加することで虫歯を治すことはできません。

人工物で歯の形を作り補うことで治療します。お口の中で自分の歯と人工物が共存します。それらが長持ちするためには定期的なクリーニングとかみ合わせなどのチェックが必要不可欠です。

最終的な被せ物を装着したときが治療の終わりではなく通過点です。

家を建てる場合、家を建て完成した時が終わりでなくそこから生活が始まるのと同じです。

どの歯科治療においても定期的なメインテナンスは重要です。

 

1-3:まとめ

歯のすり減りは自覚症状がない為、ご自分で気づくことはありません。

しかし時々歯が凍みる、詰め物が取れるなど何かしらの信号を発しています。

虫歯や歯周病ではないからと言って油断はできません。放置していると徐々に歯のすり減りが広範囲になっていき歯が欠けるなど様々なことが起こります。

なるべく早めにその原因を突き止めて適切な治療を受けることをお勧めします。

注)当院でのすり減りの治療は自費治療となります。

 

     

 

 

筆者プロフィール

著者

イーストワン歯科本八幡
東 郁子

■経歴
  • 平成6年 鶴見大学歯学部 卒業
  • 平成7年 鶴見大学付属病院研修医 修了
  • 平成7年 都内の歯科医院 勤務
  • 平成30年 イーストワン歯科本八幡 開院
■所属学会/スタディグループ
  • ●IPSG包括歯科医療研究会
  • 第2回咬合認定医コース受講 咬合認定医 取得
  • 総義歯の基礎と臨床 受講
  • 顎関節症ライブ実習コース 受講
  • パーシャルデンチャーとテレスコープシステム 理論と実習コース 受講
  • 咬合治療の臨床 受講
  • ●日本臨床歯科医学会
  • レギュラーコース 受講
  • ●顎咬合学会