Ceramic Treatment

セラミック治療

噛み合わせを重要視したセラミック治療

見た目が美しく、違和感のない歯の実現をサポートするセラミック治療では、健康な歯を失わず全体の歯を長持ちさせることを目指しています。噛み合わせのバランスやフィット感が重要となるため、信頼できる歯科技工士と連携し、歯を削る器具も質の高いものを使用しております。セラミックは患者様の歯や噛み合わせに合わせて様々な種類をご提案しておりますので、お気軽にご相談ください。

虫歯などが原因で欠けた歯やヒビの入った歯の被せ物にセラミックと呼ぶ素材を使用する治療を「セラミック治療」といいます。
※当院でのセラミック治療は見た目の美しさと同時に、全体の歯が長持ちするよう見た目の美しさのみならず、噛み合わせのバランスを重視した治療を行います。

セラミック治療の特徴

セラミックの被せ物は元のご自分の歯=天然歯と同じように歯の形や色を合わせて作製することができます。虫歯だけでなく「笑ったときに銀歯が目立つ」「職業柄、相手に良い印象を与えたい」「白い詰め物をしたけど黄色く変色してきた」などのお悩みの方にもセラミック治療が可能です。

セラミック治療を行う前の
診査診断の重要性

当院ではセラミック治療を行う前にお口の中全体の虫歯や歯周病、噛み合わせの診査を行います。これは単に被せ物を白くして見た目を良くする治療ではないからです。これから行うセラミック治療の歯と他の歯の寿命を延ばすようにすることが治療の目的です。そのためには事前の診査は欠かせません。

セラミック治療の
開始までの流れ

Step.

虫歯、歯周病のチェック

Step.

噛み合わせのチェック

※詳しくはを初めての方へのページご覧ください。
Step.

診査の結果を基に治療計画を立案

Step.

患者様へのご説明とご理解ご承諾ののち治療開始

精度の良い
セラミック治療を行うには

セラミック治療は歯科医師と歯科技工士の合作です。精度の良いセラミック治療とは削って形を整えた歯とセラミックが、いかに良くフィットし噛み合わせの良い形に仕上げるか。そのために当院では優秀で腕の良い信頼できる歯科技工士に仕事を依頼しています。歯科技工士にバトンタッチする前に歯科医師は精度の良い「セラミックを被せる歯を削った形作り」と「型どり」をしなければなりません。

(1)歯を削る道具と器械の選択

歯を削る道具を「ダイヤモンドバー」といいます。このバーは様々な品質のものがあり包丁と同じ使用していると削れなくなります。切れ味の良い包丁は品質もよく比較的切れ味が持続します。同様に当院で使用するダイヤモンドバーは摩耗しにくく削る際のブレが少ない質の良い日向和田精密製作所のSJCDバーを使用しています。

ダイヤモンドバーは「タービン」と呼ぶ削る器械に装着しそれが回転するとダイヤモンドバーによって歯を削ることができます。その回転の際にブレが生じると削った面に凸凹ができ削った歯とセラミックの被せ物のフィット感が低下します。

また、タービンと呼ぶ削る器械自体にもブレが少なくお水が多くでるものを使用しています。削る時になぜお水が必要かというと歯を削る時、摩擦熱が発生するからです。摩擦熱が起こると歯にダメージを与えます。特に神経の生きている歯はその熱によってダメージを受けると神経が壊死する可能性があります。

このお水の量は器械によって異なります。少ないお水の噴射で摩耗した削れないバーで押し付けて削ると余計な摩擦熱が発生し歯に大きなダメージを与えてしまいます。歯を削る際にはある一定量以上のお水が必要とされます。当院で使用する器械からは冷却に必要とされる量である毎分50cc以上の水が出ます。国産のメーカーの器械ではこれを満たしていないものが少なくありません。
ダイヤモンドバー
当院で使用しているダイヤモンドバーです。

(2)歯科専用/拡大鏡の使用

当然ですが歯の治療は見えなければ精度の良い治療はできません。人間の視力は1.5であれば「目がいいね」と言われる数値ですが視力1.5は0.1mmの大きさの物体を約25cmの距離で判別できる程度です。従って0.1mm以下の隙間や段差は見えないことになります。虫歯になりにくい被せ物の適合精度(削った歯と被せ物との境界の隙間)は0.003mm以下(髪の毛の3分の1)です。歯を削る時などどのような治療の場面でもこの拡大鏡を使用しています。もちろん優秀な歯科技工士も使用しています。
歯肉圧排と型どり

(3)歯肉圧排と型どり

「歯肉圧排」は「しにくあっぱい」と読みます。この作業は被せ物の適合精度(削った歯と被せ物のとの境界の隙間)を良くするために欠かせないものです。この削った歯と被せ物のとの境界の隙間が大きければ汚れが溜まりやすく虫歯になってしまいます。

型どりの前に歯と歯茎の間の隙間に圧排糸(あっぱいし)と呼ぶ糸を巻きます。一時的に歯茎を広げ型どり時にその糸を外してその隙間に型どりの材料が入り込むことによって境界がはっきりと型どりに反映され適合精度の良いものを作ることができます。
圧排糸
削った歯の歯茎の周りに黒いものが圧排糸(あっぱいし)です。
型どりの材料もまた適合精度に深く関係します。型どりの材料はどの材料でも寸法変化があります。この寸法変化が少なければ少ないほど適合精度(削った歯と被せ物のとの境界の隙間)の良いものが作れます。型どり材料にはシリコン印象材(いんしょうざい)を使用し寸法変化を最小に抑えるようにしています。
石膏模型
シリコン印象材による型どり(右2本がセラミック治療の歯)です。

(4)石膏模型の作製

シリコン印象材による型どりをしたものに石膏を注いで歯科技工士がセラミックの被せ物を作製するための石膏模型を作ります。使用する超硬石膏(ちょうこうせっこう)は石膏の中でも硬く寸法変化が少ない製品なので適合精度(削った歯と被せ物のとの境界の隙間)の良いものを作ることができます。寸法変化を少なくするために必ず石膏とお水の量を正確に測ります。
超硬石膏
左から超硬石膏(ちょうこうせっこう)、メスシリンダー、計量器です。
計量器で測った石膏とメスシリンダーで測った水を真空練和機(しんくうれんわき)にセットします。
メスシリンダー
そして石膏とお水を混ぜる真空練和機(しんくうれんわき)と呼ぶ器械を使用します。この器械によって混ぜた石膏泥は気泡がとても少なく均一に混ざるので密で頑丈な模型を作ることができます。
真空練和機
こちらが真空練和機(しんくうれんわき)です。
練和された石膏泥を型どりしたものに注いでいきます。
型どり
シリコン印象材による型どりしたものを拡大した写真です。赤ラインが歯を削った境目です。
これに石膏を注入して石膏模型を作製したものです。この作業から歯科技工士の仕事になります。
石膏模型
上の写真の黄色の矢印の歯茎部分を削ると赤ラインで示した削った境目が現れてきます。
歯茎部分を削った跡
矢印部分は歯茎部分を削った跡です。赤ラインの歯を削った境目が現れます。

(5)適合精度に拘る理由とは

最終的に被せ物はセメントで歯に接着させますが歯は常に噛む強い力、熱い、冷たい、酸性の食べ物にさらされています。セメントはこのような過酷な環境に耐えうる材料ではなく劣化する材料なのです。削った歯と被せ物の境界の隙間が大きいとセメントの厚みが厚くなります。

噛む力や過酷な環境によりセメントが脆くなりその隙間に汚れが入り込み虫歯になって被せ物が取れてしまうことが少なくありません。削った歯と被せ物の境界の隙間を少なくし全体のフィット感を良くすることで装着する際のセメントの厚みを薄くできます。そうすることで治療後の虫歯や歯周病を予防します。

セラミックという素材自体は虫歯になりにくい素材であるのにこのような理由で虫歯になっては元も子もありません。適合精度に拘る理由がここにあるのです。
歯を削った境目
赤の点線が歯を削った境目です。

上の写真の赤の点線にセラミックの被せ物の縁をぴったり合わせて作製します。この場所に隙間や段差があると汚れが入り虫歯や歯周病の原因になります。
セラミックの被せ物

セラミック治療のメリット

天然歯のような白く美しい仕上がりになる
ご自身の希望される白さにすることができる
治療後に変色しない
金属アレルギーの心配がない
歯垢が付きにくい

セラミック治療のデメリット

歯並びや噛み合わせによっては欠けたり割れることがある

セラミックの素材の種類

1. ジルコニア:人工ダイヤモンドと呼ばれ強度と耐久性に優れています。

2. ポーセレン(陶材):ポーセレンは日本語で長石系陶材と呼ばれるガラスセラミックの一種です。お茶碗などの陶器とほぼ同じ成分で作られています。陶器より透明度が高いです。ポーセレン単体で用いられることはなくジルコニアや金属の上に盛って使用します。

3. 強化型ガラス系セラミック:ガラスセラミックの一種で二ケイ酸リチウムガラスと呼ばれるセラミック材料です。光の透過性が優れているのでより自然の歯に近い色を出すことができます。強度が他の2つに比べてやや劣ります。

セラミック治療の種類

1. オールセラミッククラウン
2. フルジルコニアクラウン
3. メタルセラミッククラウン(金属焼付ポーセレン)
4. セラミックインレー

1. オールセラミッククラウン

オールセラミッククラウンはベースにジルコニアを使用しその上にポーセレンを盛って個々の特徴ある歯の色、形を再現して作製します。例えば上の前歯1本のみのセラミックを両隣のご自分の歯と色を合わせたい場合は自然な感じに仕上げることができます。
オールセラミッククラウ画像

2. フルジルコニアクラウン

人工ダイヤモンドと呼ばれ強度が強いので力のかかる奥歯や奥歯のブリッジに適しています。歯の色の再現性はオールセラミッククラウンより劣ります。
フルジルコニアクラウン画像

3. メタルセラミッククラウン
(金属焼付ポーセレン)

メタルセラミッククラウンはベースに金属を使用しその上にポーセレンを盛って焼き付け個々の歯の色や形を再現して作製します。力のかかる奥歯や奥歯のブリッジに適しています。金属はゴールド、プラチナ系の貴金属を使用していますので金属アレルギーの心配は少ないです。
メタルセラミッククラウン(金属焼付ポーセレン)画像

金属のベースの写真です。


完成した写真1
完成した写真2
金属のベースの上にポーセレンを盛って焼付けて完成した写真です。

4. セラミックインレー

セラミックインレーは部分的に歯を覆うものです。ガラス系セラミックを使用しており自然な色を再現できます。
セラミックインレ
真ん中の歯にセラミックインレーを装着しました。

全体的な噛み合わせを考えて
セラミック治療を行った治療例

治療の流れ

1. 診査診断:レントゲン撮影、歯周病、虫歯、噛み合わせの診査診断し治療計画立案。
2. 仮歯:被せ物を外し仮歯を作る。
3. 仮歯:型を採り、形や噛み合わせを整えた仮歯を入れる。
4. 型採り:セラミックを作るための型と噛み合わせを採る。
5. 試適:前歯の形や色をチェック。
6. 完成:セラミックを装着します。

治療前

前歯や奥歯にセラミック治療が施されていますがセラミックにヒビや欠けている歯が散見されます。
治療前1
治療前2

治療後

治療前の写真と比べると歯の形が再現され、歯の白さも患者様のご希望通りに仕上がり噛みやすくなりました。
治療後1
治療後2

治療内容 セラミック治療
治療期間 10か月
治療回数 25回
費⽤ 総額:4,846,000円(税込)

内訳:診査診断 33,000円
仮歯 11,000円×27本=270,000円
ジルコニアベースセラミック 220,000円×6本=1,320,000円
フルジルコニアクラウン 154,000円×20本=3,080,000円
セラミックインレー 88,000円
精密印象 55,000円
リスク ・セラミックは欠けることがあります。
・お手入れ次第で歯周病や虫歯になることがあります。
・定期的に検診とクリーニングが必要です。
・神経の治療をしている歯は治療後に歯の根が破折することがあります。
オールセラミッククラウン、フルジルコニアクラウン、メタルセラミックスクラウン、セラミックインレーのどれを使用するかは患者様の歯、噛み合わせの状態により選択します。セラミック治療にはいくつか種類と特徴がありますのでお悩みの方はご相談ください。