【長いブリッジから総入れ歯へ。治療中に歯がなくて人にバレないか心配です。】

【長いブリッジから総入れ歯へ。治療中に歯がなくて人にバレないか心配です。】

30代、40代で長いブリッジ治療を受けて数年で壊れてしまい大掛かりな治療になってしまう方は少なくありません。

そのような場合、多くは再度ブリッジ治療をすることは困難で入れ歯かインプラントの選択肢しかありません。

今回ご紹介するケースはお身体に持病がありインプラントができず入れ歯を選択されたケースです。

その前にブリッジとは何かご説明します。

ブリッジとは?

下の写真のような上の前歯1本が欠損し両サイドの歯を支えにして作る被せ物をブリッジといいます。長いブリッジは奥歯や前歯に欠損が数本ありその欠損を残っているすべての歯で支えたものです。

中には支える歯が欠損の歯の数より少ない力学的に無理な設計のブリッジもあります。そのような寿命の短いブリッジでも選んでしまう理由は入れ歯をどうしても避けたいからです。

無理な設計で作ったブリッジがダメになる時にはもう残せる歯が少なくなり多くの場合、再度ブリッジができません。

長いブリッジがダメになると…

この写真は上の歯全体を撮影したものです。

右側のブリッジが外れかかっており左側はほとんど歯がありません。左側にもブリッジが入っており外れてしまい放置された状態でした。(外れたブリッジをはめた状態で撮影しています。)

残っている歯のほとんどが保存は不可能でしたので総入れ歯治療になりました。

しかしこの時点で歯を抜いてしまったら前歯が無くなり周りの方にバレてしまいます。そして噛むことができません。

安心して下さい。

あらかじめこの状態で型どりをして仮の総入れ歯を作ります。その総入れ歯を装着する日に抜歯をして入れます。

ただし見た目によって周囲にバレることはないのですが総入れ歯に慣れて頂くにはある程度の時間が必要になります。

次の項では初めて入れる総入れ歯に慣れるとはどのようなことなのかを説明します。

初めての仮の総入れ歯に慣れて頂くこと

この仮の総入れ歯は最初は違和感があります。

どのような違和感かといいますと

  • しゃべりにくい。(特にさ行、た行)
  • 大きさに違和感
  • 鼻の下の部分に違和感

などです。

痛みのあるところは歯科医院で調整しご自宅での音読などご協力いただきますと必ず慣れてきますので安心してください。

 

なるべく早く慣れるには

早く入れ歯に慣れるにはなるべく長い時間装着することです。(痛みは我慢する必要はありません。)

食べ物は軟らかい物から徐々に慣らしていくと良いでしょう。

しゃべりにくさを早く克服するにはなるべく長い時間新聞や本の音読、歌を歌うなど発声することです。早い方では1週間ほどで普通に発音できるようになります。

大きさや鼻の下の部分の違和感はこれも装着時間を長くするしかありません。

いずれにしても必ず慣れて体の一部として機能するようになります。先日も患者様が「最初総入れ歯を入れた日はこの世の終わりかと思うくらい絶望的でした。話せないし違和感がすごくて、、、でも今では逆に外している方が違和感を感じます。」とおっしゃっていました。この方はお仕事が接客業でしたが毎晩お風呂で歌ったりドラマのセリフを言ったりかなり努力され1、2週間で普通に発音ができていました。

仮の入れ歯が完成するまではかなり日数がかかりますので「総入れ歯になるかも」と不安な方はお仕事や旅行などのイベントのスケジュールに合わせて入れ歯治療を進めてもらう、入れ歯を入れてからの発声練習に長期休暇を充てるなど余裕をもって歯科医院にかかると良いと思います。

突然ブリッジごと歯が抜けてしまってもすぐに入れ歯は作れませんので。

最終的な総入れ歯は

このような形で入りました。

仮の入れ歯で慣れて頂いたため最終的な総入れ歯では会話はスムーズにできお食事は痛くなく噛めるので快適ですと感想をいただきました。

<総入れ歯の治療期間、費用、リスク>

治療期間:約1年(抜歯の治癒期間含む)

費用 :¥880,000

リスク:入れ歯に慣れるために時間が必要です。

まとめ

このように長いブリッジを外して治療するときは事前に仮の入れ歯を作りますので歯がないことが周りにバレることはほとんどありません。(仮の入れ歯は保険適用外です。)

入れ歯は「義歯(ぎし)」といいます。

例えば足を失った人が義足を装着した直後から走れる人はいませんね。これと同じで入れ歯がご自分の体の一部として機能させるには一定期間のリハビリが必要なのです。

無理な設計での長いブリッジ治療はその綻びが生じたあとのダメージが大きいことがほとんどです。

そのようなケースでは当院では「ドイツ式入れ歯」をお勧めしています。なぜなら修理が可能なので長く使うことができるからです。

関心のある方は以下のリンクをクリックし「ドイツ式部分入れ歯」をご一読下さい。

 

筆者プロフィール

著者

イーストワン歯科本八幡
東 郁子

■経歴
  • 平成6年 鶴見大学歯学部 卒業
  • 平成7年 鶴見大学付属病院研修医 修了
  • 平成7年 都内の歯科医院 勤務
  • 平成30年 イーストワン歯科本八幡 開院
■所属学会/スタディグループ
  • ●IPSG包括歯科医療研究会
  • 第2回咬合認定医コース受講 咬合認定医 取得
  • 総義歯の基礎と臨床 受講
  • 顎関節症ライブ実習コース 受講
  • パーシャルデンチャーとテレスコープシステム 理論と実習コース 受講
  • 咬合治療の臨床 受講
  • ●日本臨床歯科医学会
  • レギュラーコース 受講
  • ●顎咬合学会