【50代で入れ歯の人はいますか?】現役歯科医師が後悔しない入れ歯選びの3つのポイントを解説します!

【50代で入れ歯の人はいますか?】現役歯科医師が後悔しない入れ歯選びの3つのポイントを解説します!

50代より若い世代の30代、40代でも入れ歯の方は少なくありません。

入れ歯にすることに抵抗のある方が歯が悪いままずっと放置して噛めなくなって見た目も悪くなったのでので入れ歯にしたいとのご相談が少なくありません。

放置してしまうのは「入れ歯は年寄りがするもの」というイメージがあるのでしょう。

しかし入れ歯には様々な種類がありそのようなイメージを払拭させるような入れ歯もあります。決してそのままの状態で放置せず今のうちに治療して日常生活を歯で悩むことなくお過ごしいただけたらと思います。

この記事では後悔しない入れ歯選びのポイントを解説しますので参考にして下さい。

はじめに

歯科の治療には保険治療と自費治療があります。

これから解説する入れ歯選びのポイントを踏まえた入れ歯は保険治療で作ることができません。なぜなら安価でできる保険治療には様々なルールがあり材料や設計に制限があるからです。

しかし費用が掛かっても良い入れ歯に出会えないこともあります。

この記事では費用の高い安いではなく入れ歯を選ぶときに気を付けたいポイントを解説します。

1章:入れ歯で後悔しない選び方のポイント

初めて入れ歯を入れる方、今まで入れ歯を使用していて不具合のために新たに入れ歯を作る方が入れ歯を選ぶ際のポイントを解説します。

1-1:目立たない、周りに気づかれない入れ歯を選ぶ

あなたがお店で買い物しているときに店員さんが入れ歯をしていると気づく時、何を見てもしくは感じて気が付くのでしょうか?おそらく多くの場合、笑顔の口唇の端から金属が見える時ではないでしょうか?

保険の部分入れ歯では入れ歯が外れないように残っている歯に金属のバネ(クラスプ)を掛けます。

このクラスプは目立つ、歯を揺さぶり残っている歯をダメにする、入れ歯の固定が不十分であるなどのデメリットがあります。

ただし安く仕上げることができます。

自費の入れ歯のほとんどは周囲の人に入れ歯が目立たないよう工夫がされています。

1-2:痛くない入れ歯を選ぶ

お食事中に入れ歯が当たって痛くて噛めないことは保険も自費の入れ歯でもあります。それは数回の調整で解消されることがほとんどです。

ただ保険の入れ歯で仕上がりの精度が低いと入れ歯の内面と歯茎の間に隙間があり調整しても改善しない場合があります。

始めから仕上がりの精度の高い入れ歯を選択すると良いでしょう。

1-3:できるだけ違和感が少ない入れ歯を選ぶ

初めて入れ歯を入れる方は違和感を感じるためできるだけ長い時間装着し徐々に慣れて頂くと良いと思います。

上顎の入れ歯の場合、真ん中の部分が厚いと違和感が出やすいのなるべく薄くできる入れ歯を選ぶとよいでしょう。

1-4:軟らかい物しか食べられない入れ歯は避ける

初めて入れ歯を入れる方は軟らかい物から徐々に慣らしていく必要があります。

慣れてきたのにうどんなどの麺類、パン、お豆腐やヨーグルトなど炭水化物中心のお食事しかできないような入れ歯は避けましょう。

1-5:しっかり固定された入れ歯を選ぶ

残っている歯にしっかりと固定された入れ歯は噛んだ時や口を動かしたときに外れにくく、噛んだ時に力が入りやすいので良く噛むことができます。

1-6:長持ちする入れ歯を選ぶ

20年30年を見据えた入れ歯治療を選択することをお勧めします。

「4,5年持てばいいや」という入れ歯にするとどんどん残っている歯を失うスピードが速まります。

そして何回も再治療してそのたびにお金も時間も掛かります。そして早期に総入れ歯になる可能性もあります。

それ故、再治療を大掛かりな治療にしないよう50代のうちに長持ちする入れ歯治療をしましょう。

2章:入れ歯の種類

入れ歯には保険と自費の2種類あります。さらに自費の入れ歯にはいくつか種類があります。

2-1:保険の入れ歯

保険の入れ歯は最低限の費用で最低限の機能を持った入れ歯であり入れ歯の材料や設計に制約があります。

その制約のうちのひとつに「金属のバネ(クラスプ)を使用する。」という入れ歯を外れないようにするための構造物の制約があります。

このクラスプを使用した入れ歯は残っている歯にしっかり固定できないので入れ歯が外れやすい、歯がぐらつきやすいなどのデメリットが多くあります。

 

2-2:自費の入れ歯

自費の入れ歯にはいくつか種類がありますがそのひとつに「ノンクラスプデンチャー」と呼ぶ部分入れ歯があります。

これは金属のバネ(クラスプ)の代わりにピンク色の樹脂を使用して目立たないようにしています。

金属を使用しない入れ歯なので多くの歯科医院で勧められている入れ歯です。

しかし長期に使用すると

・顎の骨を異常に吸収させる

・歯をぐらつかせてしてしまう

・修理ができないことが多く歯を失うとまた新たに作り直さなければならない

・劣化が早く3年ほど経つと入れ歯が緩くなる

といった多くのデメリットがあります。

入れ歯がしっかり固定されずに緩んでくるとご自分の歯も一緒に揺さぶられるため保険の入れ歯同様に歯を失うスピードが速まります。

3章:入れ歯で後悔しない歯医者さん選びのポイント

「家から近いから」「夜遅くまでやっているから」「日曜日もやっているから」という理由だけで歯医者さんを選んでいませんか?

この章では自費の入れ歯で後悔しない歯医者さん選びのポイントを解説します。

3-1:入れ歯や治療の相談の時間を取ってくれる歯医者さん

すぐに治療に入るのではなく、まず入れ歯などのお悩みについて話を聞いてくれる歯医者さんを選びましょう。

その歯医者さんで扱っている入れ歯の写真やサンプル入れ歯で分かりやすく説明してもらえる歯医者さんが良いでしょう。

3-2:必ず治療開始前に検査をする歯医者さん

入れ歯を作る前に一般的な検査であるレントゲン撮影、虫歯、歯周病の検査の他に型を採って歯型模型を器械に取り付けてかみ合わせの検査をする歯医者さんが良いでしょう。

歯を失った原因が他の歯が原因であることが少なくありません。

歯のない部分だけを診て治療しても長持ちする入れ歯はできません。

3-3:治療の開始前に治療の流れを説明してくれる歯医者さん

入れ歯を作るまでの流れやどのような形の入れ歯になるのか、入れ歯が出来上がるまでは仮の入れ歯を入れてくれるのかなど治療について説明してくれる歯医者さんが良いでしょう。

そして費用に関しても見積もりを提示してくれる歯医者さんを選びましょう。

3-4:治療後に定期的なクリーニングや検査を薦める歯医者さん

入れ歯が完成した後も残っている歯や入れ歯が長持ちするよう定期的に歯のクリーニングと入れ歯のチェックに来院するよう促してくれる歯医者さんが良いでしょう。

お口の中には人工物である入れ歯とご自分の歯の性質の違うものが同じお口の中で機能させるわけですから長持ちさせるには定期的にチェックしていくことが重要です。

 

4章:50代の方にお勧めの入れ歯

当院でお勧めしている部分入れ歯は「ドイツ式入れ歯(テレスコープ義歯)」です。

50代のみならずすべての世代の方にお勧めです。

治療前の写真です。左の奥歯3本、右の奥歯が1本ありません。

 

保険の入れ歯だと写真のような金属のバネ(クラスプ)を歯にかけます。(実際にはこの入れ歯は仮の入れ歯で一時的に使用するためのものです。)

 

治療後の写真です。

ドイツ式部分入れ歯(テレスコープ義歯)では金属のバネ(クラスプ)が見えないので患者様は大変喜んでおられました。

ドイツ式部分入れ歯は20年30年先を見据えて設計します。

例えば今は抜歯するような歯ではないけれど将来不安のある歯をできる限り残し今後その歯が抜歯になっても修理ができるよう慣れ親しんだ入れ歯を長くお使いいただけます。

 

写真のドイツ式入れ歯の概要

<治療期間> 約6か月

<費用>  ¥2、541,000

<リスク>入れ歯の出し入れの練習が必要です。お手入れを怠ると虫歯や歯周病になるので定期的な検診とクリーニングが必要です。

ドイツ式入れ歯の特徴は

目立たない、周りに入れ歯だと気づかれにくい

良く噛める

寝るときは装着して寝る

残っている歯を守ることができる

修理が可能である

などです。

ご興味のある方は以下のリンクをクリックしてお読みください。

 

まとめ

入れ歯選びで後悔しないポイントは

1、目立たず周りに気づかれない入れ歯を選ぶ

2、痛くない入れ歯を選ぶ

3、できるだけ違和感の少ない入れ歯を選ぶ

4、軟らかい物しか食べられない入れ歯は避ける

5、しっかり固定された入れ歯を選ぶ

6、長持ちする入れ歯を選ぶ

です。

この記事を参考にしてご自分に合う歯医者さんと入れ歯を選んで下さい。

 

 

 

 

筆者プロフィール

著者

イーストワン歯科本八幡
東 郁子

■経歴
  • 平成6年 鶴見大学歯学部 卒業
  • 平成7年 鶴見大学付属病院研修医 修了
  • 平成7年 都内の歯科医院 勤務
  • 平成30年 イーストワン歯科本八幡 開院
■所属学会/スタディグループ
  • ●IPSG包括歯科医療研究会
  • 第2回咬合認定医コース受講 咬合認定医 取得
  • 総義歯の基礎と臨床 受講
  • 顎関節症ライブ実習コース 受講
  • パーシャルデンチャーとテレスコープシステム 理論と実習コース 受講
  • 咬合治療の臨床 受講
  • ●日本臨床歯科医学会
  • レギュラーコース 受講
  • ●顎咬合学会