- 入れ歯
【あなたの上顎の裏側にざらざらした部分ありますか?】現役歯科医師が解説します!
舌で上顎の前歯の裏側を触るとざらざらしたものを感じると思います。
これは「口蓋皺壁」と呼ばれるものです。
これは何のためにあるかを解説します。
1章:上顎の裏側のざらざらは口蓋皺壁です。
上顎の前の方にあるざらざらした部分は口蓋皺壁(こうがいすうへき)と呼ばれるものです。
左右に3~4本あります。
1-1:口蓋皺壁(こうがいすうへき)は何のためにあるのでしょうか?
- 食べ物を舌の先に置いて口蓋皺壁に押し付けて奥歯の上に送る
- さ行、た行、ら行の発音時に舌が口蓋皺壁にわずかに接触することで構音がでる
- 口蓋皺壁により飲み物(例えばワインなど)を舌全体に広げて味を味わう
- 食べ物を飲み込む際に舌の先端を口蓋皺壁に押し付けることで食べ物を喉に送り込むことができる
このような役割があります。
正常な飲み込みでは舌が口蓋皺壁に圧を掛けて行われるため口蓋皺壁は角化して硬くなっています。
2章:あなたの上の総入れ歯に口蓋皺壁はありますか?
あなたのお使いの上の総入れ歯に口蓋皺壁があるか確認してみて下さい。
あるならばその歯科技工士さんは手抜きをしない真面目な技工士さんです。
2-1:総入れ歯にも口蓋皺壁を付与する理由
総入れ歯は「総義歯」と呼びます。
この「義歯」は「義足」「義手」と同じでできる限り元の状態に戻してできる限り元の機能をさせることが目的です。
総入れ歯を入れても歯があった頃の機能をさせることが大切です。
3章:当院の総入れ歯
当院での総入れ歯は一般的な総入れ歯の作り方と異なる点があります。それはなるべく不自由なく噛んでお食事を楽しんでいただきたいからです。
大まかな総入れ歯作りをご説明いたします。
- 型どりとかみ合わせ
- 仮合わせ
- 完成
3-1:型どりとかみ合わせ
患者様のお口の大きさに合った型どりのトレーを作ります。
そのトレーでかみ合わせを取ります。
そして寸法変化の少ない型どり材(シリコン印象材と呼びます。)で上下の型をとります。一般的には口を開けた状態で型どりしますが噛んで型を採ります。
なぜ噛んで型どりするかといいますと上下の入れ歯で噛むことが目的ですから噛んだ状態の歯茎や筋肉の状態の情報を型どりに反映させたいからです。
3-2:仮合わせ
ここでは仮に歯を並べ前歯と唇、お顔の位置関係や笑った時の前歯の見え具合、前歯の色などを患者様にチェックしていただきます。
3-3:総入れ歯の完成
総入れ歯の治療は非常に難しい治療です。私たちは患者様の歯があった頃を知らない無の状態から作り上げるからです。
当院では噛む機能、嚥下や発音機能、お顔との調和した歯並びを再現するために型どりの材料やかみ合わせを取る方法など様々な拘りを持って治療に取り組んでいます。お顔と調和した総入れ歯は入れ歯だと気づかれにくく若々しい表情になります。
総入れ歯の治療期間:約4か月
・総入れ歯の費用:上下 ¥2,310,000(金属補強付き)
・リスク、副作用:初めての方は入れ歯の出し入れ、発音の練習が必要です。慣れるまで時間が必要です。
定期的にかみ合わせなどのチェックが必要です。
筆者プロフィール
イーストワン歯科本八幡
東 郁子■経歴
- 平成6年 鶴見大学歯学部 卒業
- 平成7年 鶴見大学付属病院研修医 修了
- 平成7年 都内の歯科医院 勤務
- 平成30年 イーストワン歯科本八幡 開院
■所属学会/スタディグループ
- ●IPSG包括歯科医療研究会
- 第2回咬合認定医コース受講 咬合認定医 取得
- 総義歯の基礎と臨床 受講
- 顎関節症ライブ実習コース 受講
- パーシャルデンチャーとテレスコープシステム 理論と実習コース 受講
- 咬合治療の臨床 受講
- ●日本臨床歯科医学会
- レギュラーコース 受講
- ●顎咬合学会