歯を失って歯医者さんで「部分入れ歯かインプラント治療」の説明をされたけどどちらがよいかわからない方へ

この記事では両者の治療方法がどのようなものかそれぞれのメリットデメリットを解説します。

こちらの記事をお読みになり両者の治療を比較しご自身が治療を選ぶ際の参考にしてください。

目次

1：部分入れ歯治療はどんなもの？

1-1：メリットとデメリット

2：インプラント治療はどんなもの？

2-1：メリットとデメリット

3：まとめ

1､部分入れ歯治療はどんなもの？

入れ歯治療は歯を抜いた部分にご自身で取り外すことのできる人工の歯と歯肉部分で作られた入れ歯をはめることによって噛む機能や見た目を回復する治療です。

はめた入れ歯を会話中や食事中に外れないようにするために健康な歯に金属のバネ（クラスプと呼びます。）を引っ掛けます。保険治療の入れ歯がこのタイプになります。

保険外治療では

金属のバネを場所によって目立ちにくいように工夫されたものを使用したり歯肉部分の一部に金属を使用し薄く強固にした「金属床義歯（きんぞくしょうぎし）」

金属のバネ（クラスプ）の部分の代わりに人工の歯肉部分を一体化した「ノンクラスプデンチャー」

金属のバネ（クラスプ）を掛ける歯にお茶筒とその蓋と同じような仕組みを設け上記の2種の部分入れ歯より見た目がよく頑丈でよく噛める「テレスコープ義歯（テレスコープぎし）」

などがあります。

1-2：メリットとデメリット

保険治療の部分入れ歯と保険外治療の部分入れ歯のメリットデメリットを挙げます。

＜保険治療の部分入れ歯のメリット＞

・大掛りな外科治療がほとんどない

・費用があまりかからない

＜保険治療の部分入れ歯のデメリット＞

・金属のバネが見えるので見た目が悪い

・金属のバネを引っ掛けている歯がそのバネに揺さぶられダメになって　　

　しまう

・残っている歯を守る入れ歯設計ができない

・材料の品質が悪いため汚れやすくばい菌が繁殖しやすい

・そのため誤嚥性肺炎のリスクが高まる

・よいかみ合わせを作ることが困難なためお肉やお煎餅などの硬い物や葉物野菜が噛みにくい

・壊れやすいので長持ちしない（2，3年で壊れることもある）

＜保険外治療の入れ歯のメリット＞

・残っている歯を守れるよう自由な入れ歯設計ができる

・ノンクラスプデンチャー、テレスコープ義歯は金属のバネを使わないので見た目がよい

・金属床義歯でも目立たにような金属のバネを作ることもできる

・よい品質の材料を使用しているため汚れが付きにくくばい菌が繁殖　

しにくい（ただしノンクラスプデンチャーは特殊な材質なため汚れを吸着しやすい）

＜保険外治療の入れ歯のデメリット＞

・歯科技工士の人材不足、特に入れ歯を製作する歯科技工士が減っているため製作時間がかかる

2:インプラント治療はどんなもの？

インプラント治療は歯を抜いた部分の骨に人工の歯の根を植えて土台　

を建て被せ物をする治療です。

図に示されているフィクスチャー（人工歯根）が人工の歯の根、アバットメント（支台）が土台、上部構造（インプラント義歯）が被せ物です。

2-1：メリットとデメリット

＜メリット＞

・ご自分の歯（天然歯）とほぼ同じように噛める

・噛む力をインプラントが受け止めるため他の歯への負担が掛かりにくい

・保険治療の部分入れ歯の金属のバネがないので見た目がよい

＜デメリット＞

・外科処置が必要

・糖尿病などの病気により治療できないことがある

・歯を抜いた後の顎の骨（歯槽骨）がないと治療できないことがある

・ご自分の歯が歯周病になるようにインプラントもインプラント周囲炎と呼ぶ炎症によって脱落する可能性がある

・歯列矯正が必要な場合、それを先延ばしにしてインプラント治療をするとあとから歯列矯正ができないことがある

・インプラント治療後に他の歯を抜いた場合、治療の選択肢がインプラントのみになってしまうことがある

3､まとめ

部分入れ歯は保険治療のものと保険外治療のもどちらがよいかと問われれば患者様が費用の掛からないことを重要視されている場合は「保険治療の入れ歯」をお勧めします。

お身体や歯の健康を重要視されている場合は保険治療外の入れ歯かインプラントをお勧めします。

保険治療外の入れ歯とインプラントを比較した場合、ご年齢、お口の中の残っている歯の本数と場所（奥歯なのか前歯なのか）、上下が噛み合っている部分は何か所かによって選択が違ってきます。どのような治療も一生もつことは不可能なので何より大事なのは生涯に渡ってできるだけ長く使用でき再治療のことも考えて治療を選択することです。

最善で適切な歯科治療によって健康で楽しい食事を自然に送ることができますように。