【ドイツ式入れ歯のデメリット】後悔しやすいケースと費用・修理を歯科医師が解説

query_builder 2021/04/15

ドイツ式入れ歯(テレスコープ義歯)のデメリットと、「後悔した」となりやすいのはどういうときかを、市川市本八幡の歯科医師がまとめました。歯を削る理由、費用と期間、内冠が外れたときの修理、向いている方・向いていない方まで、事実でお伝えします。

こんな不安を持っていませんか

  • □ 「ドイツ式入れ歯」で調べると出てくるけれど、実際のところ高いのではないか
  • □ 歯を削ると聞いて、削られるのが怖い
  • □ 口コミが少なくて、実際どうなのかがわからない
  • □ 高い費用をかけて、あとで後悔しないか心配
  • □ 内冠が外れたり、修理が必要になったりすると聞いた
  • □ ほかの歯科医院でインプラントは難しいと言われた

この記事では、こうした不安に一つずつ事実で答えていきます。テレスコープ義歯にもメリットとデメリットがあり、どちらが優れているというものではなく、ご自身の歯の状態や生活に合うかどうかの条件で選ぶものです。


テレスコープ義歯(ドイツ式入れ歯)とは

支えにする歯に金属の内冠(ないかん)をかぶせ、入れ歯側の外冠(がいかん)を、ふたと胴体のように重ねて固定する入れ歯です。金属のバネ(クラスプ)を使わないため、下の写真のように見た目に金具が出にくくなります。コーヌス・リーゲル・レジリエンツの3種類があり、支えにできる歯の本数や状態によって使い分けます。仕組みと3種類の詳しい説明、費用内訳つきの症例はドイツ式入れ歯(部分入れ歯)のページにまとめていますので、この記事では重ねてご説明しません。

金属のバネ(クラスプ)が見える保険の部分入れ歯 金属のバネが見えない入れ歯

保険の部分入れ歯のバネの種類については【部分入れ歯のバネ(クラスプ)の種類】で詳しくご説明しています。


デメリットと、その理由

テレスコープ義歯には、次のようなデメリットがあります。「なぜそうなるのか」という理由とあわせてお伝えします。

支えにする歯を削る必要がある

内冠をかぶせるためには、被せ物(クラウン)を入れるときと同じように、支えにする歯の表面を削る必要があります。削る量は一般的な被せ物治療とほぼ同じですが、健康な歯であっても削ることに変わりはありません。

リーゲルテレスコープの模型(歯にかぶせる内冠に鍵の装置がついている)

費用が高い

内冠と外冠を1本ずつ精密に作り、ずれなくかみ合うように仕上げる技工作業には、時間と技術が必要です。支える歯が多いほど内冠の本数も増えるため、費用は本数や設計によって変わります。

治療期間が長い

型どりや噛み合わせの記録を重ね、仮の入れ歯で調整をしながら進めるため、完成までにおよそ6か月から1年ほどかかります。歯を抜く必要がある場合は、治癒を待つ期間がさらに加わります。

取り外して手入れをする必要がある

テレスコープ義歯は取り外し式です。毎日の手入れが必要で、外して洗うひと手間は、固定式の被せ物やブリッジにはない負担です。一方で、取り外せるからこそ、支えにしている歯の周りまで直接清掃できるという面もあります。

内冠が外れることがある

内冠は歯にセメントで接着していますが、長年の使用でこの接着が弱くなり、外れることがあります。外れた場合は、再接着や作り直しで対応します。

前装(外側の白い部分)の修理が必要になることがある

入れ歯の外冠にかぶせてある人工歯の白い部分(前装)は、長年使ううちにすり減ったり、欠けたりすることがあります。この部分は修理で対応できる設計になっています。

適応が限られる

内冠をかぶせる歯には、ある程度の歯根の長さや歯周組織の状態が必要です。残っている歯が極端に少ない場合や、歯周病が進んでぐらつきが大きい場合は、テレスコープ義歯が適応にならないこともあります。残っている歯が少ない方向けの設計についてはレジリエンツテレスコープについての記事もご覧ください。

作れる歯科医院・技工所が限られる

内冠と外冠を寸分の狂いなく合わせる技工作業には、専用の器具と経験が必要です。そのため、テレスコープ義歯に対応できる歯科医院や歯科技工所は、多くはありません。


「後悔した」となりやすいのはどういうときか

上記のデメリットを踏まえたうえで、次のような場合に「思っていたのと違った」と感じやすい傾向があります。

支えにする歯の状態を見ずに決めた場合

支えにする歯の根の状態や歯周組織を十分に確認しないまま治療を始めると、想定より早く歯を失ったり、内冠が外れやすくなったりすることがあります。

清掃と定期検診が続かない場合

テレスコープ義歯は「入れたら終わり」ではなく、日々の手入れと定期的な検診を前提にした設計です。通院が途切れると、支えにしている歯のむし歯や歯周病に気づくのが遅れることがあります。

短期間で終わらせたいと考えている場合

完成までに6か月から1年ほどかかることを理解しないまま治療を始めると、途中で負担に感じてしまうことがあります。

費用の総額と追加費用を確認していない場合

むし歯や歯周病の治療、抜歯が必要になった場合は別途費用がかかります。また、完成後の調整は一定回数まで費用に含まれますが、それ以降の調整や定期メインテナンスは別途費用がかかります。総額の見通しを確認しないまま進めると、想定外の出費と感じることがあります。


口コミで見かける不安に、事実で答えます

高いと聞きますが、なぜそんなに費用がかかるのですか?

内冠と外冠を1本ずつ精密に作り、それぞれの歯にぴったり合わせる技工作業に時間と技術がかかるためです。保険の入れ歯は決められた材料と設計の範囲で作られますが、テレスコープ義歯は歯の本数や状態に合わせて設計を一つずつ組み立てます。具体的な費用は、後述の「費用と治療期間」でご案内します。

歯を削るのが怖いのですが、削らない方法はありますか?

テレスコープ義歯は内冠をかぶせる設計のため、支えにする歯を削らずに作ることはできません。削る量は一般的な被せ物治療と同程度です。歯を大きく削りたくない場合は、金属床の部分入れ歯やノンクラスプデンチャーという選択肢もあります(これらもバネをかける歯をわずかに調整することがあります)。詳しくは【ノンクラスプデンチャーの5年後】をご覧ください。

後悔しないでしょうか?

海外の研究をまとめた報告では、テレスコープ義歯と、金属のバネを使った入れ歯とで、5年後に使えていた割合に大きな差はなかったとされています。どちらが優れているということではなく、支えにする歯の本数や状態、費用や期間の負担、日々の手入れを続けられるかどうかという、ご自身の条件で選ぶことが、後悔を避けるための一番の方法です。

痛くないですか?

歯を削る処置には、必要に応じて麻酔を行います。完成後は、慣れるまでのあいだ違和感や噛みにくさを感じることがありますが、多くは調整によって改善します。装着直後から違和感が続く場合は、遠慮なくご相談ください。

何年くらいもちますか?

個人差が大きく、年数を一概にお答えすることはできません。研究では、支えにしている歯の本数や、定期検診に通っているかどうかが、長持ちに関わる要因として報告されています。次の章で詳しくご説明します。


長持ちと修理について、わかっていること

テレスコープ義歯は、壊れたら作り直すのではなく、修理しながら使い続けられる設計です。海外でテレスコープ義歯463名・554床・内冠1,758本を長期間追跡した調査では、5年後に入れ歯そのものが使えていた割合は95.1%、支えにしている歯が使えていた割合は95.3%でした。この調査では、支えにしている歯の本数と、定期検診に通っているかどうかが、長持ちに影響すると報告されています。修理が必要になった内訳は、外側の白い部分(前装)の修理が26.9%、内側の裏打ち(床の調整)が34.8%、内側の冠(内冠)が外れたケースが20.6%でした。

別の系統的レビュー(46件の臨床研究をまとめたもの)では、5年後に使えていた割合は、金属のバネを使った入れ歯で95.1%、テレスコープ義歯で91.7%となっており、両者に大きな差はみられませんでした。一方で、部分入れ歯で支えにしている歯は、支えにしていない歯に比べて、5年のあいだに抜歯になりやすさがおよそ2倍だったとも報告されています。「テレスコープ義歯にすれば歯を守れる」と単純に言えるものではなく、支えにしている歯の本数や状態、日々の手入れと定期検診によって結果が変わってきます。

国内の調査では、支えにしている歯の5年後の残存率は、直接支えにしている歯で86.6%と報告されています。長持ちに関わる要因として、歯ぐきから出ている部分に比べて根が十分に長いか、神経を取ってあるかどうか、歯ぐきの溝の深さ、支え方の種類、奥歯でしっかり噛み合わせられているかどうかなどが挙げられています。

実際に、20年以上前に作ったテレスコープ義歯(コーヌスクローネ)が折れて来院された例では、支えの歯の外冠の前装部分の変色や欠け、入れ歯の人工歯のすり減りもみられましたが、歯科技工士による修理で使用を続けられました。

修理前の入れ歯(欠けた部分)と、外した内冠 修理後の入れ歯と内冠


症例のご紹介

当院で行ったテレスコープ義歯の症例を3件、ご紹介します。費用・期間・リスクは、いずれも治療当時のものです。

症例1:上顎のコーヌステレスコープ(6本の歯を利用)

治療前の歯列(正面) 治療後の歯列(正面) 治療後、上あごを下から見た状態

  • ・治療内容:上顎のコーヌステレスコープ(6本の歯を利用)
  • ・治療期間:約1年半(歯並びを整える矯正治療の期間を含む)
  • ・費用:2,629,000円(治療当時)
  • ・リスク:支えにしている歯が歯周病やむし歯にならないよう、定期検診が必要です

※治療当時の費用です。現在の費用は診察のうえでご案内します。

※自由診療(保険適用外)です。

症例2:上顎のリーゲルテレスコープ(7本の歯を利用)

治療前の歯列(正面) 治療後の歯列(正面) 上あごのリーゲルテレスコープを模型にのせた状態

リーゲルテレスコープは取り外して洗えるため、長いブリッジと違い、支えている歯の周りまで直接清掃できます。残った歯を長く保つうえで、この点は設計上の利点になります。

  • ・治療内容:上顎のリーゲルテレスコープ(7本の歯に内冠をかぶせています)
  • ・治療期間:約10か月
  • ・費用:2,530,000円(治療当時)
  • ・リスク:支えにしている歯が歯周病やむし歯にならないよう、定期検診が必要です

※治療当時の費用です。現在の費用は診察のうえでご案内します。※自由診療(保険適用外)です。

症例3:リーゲルテレスコープ(歯石除去・根の治療を含む17回)

治療前の歯列(正面) 治療後の歯列(正面) 治療後、上あごを下から見た状態

この症例では、歯のない部分だけを補うのではなく、残っている歯の状態と噛み合わせ全体を診てから設計しました。リーゲルテレスコープは、残った歯を内側と外側の二重のかぶせ物で包み入れ歯側に仕込んだレバーを開閉させて入れ歯を出し入れします。そのため、金属のバネを使いません。将来いずれかの歯を失った場合も、修理して使い続けられる設計です。

  • ・治療内容:リーゲルテレスコープ
  • ・治療期間・回数:17回(歯石除去、根の治療を含む)
  • ・費用:3,370,400円(治療当時)
  • ・リスク:支えにする歯を削る必要があります/取り外しの練習が必要です/清掃が不十分だと歯周炎やむし歯になりやすいため、定期的なメインテナンスが必要です

※治療当時の費用です。現在の費用は診察のうえでご案内します。※自由診療(保険適用外)です。


向いている方・向いていない方

これまでの内容を踏まえると、テレスコープ義歯は次のような条件にあてはまる方に向いています。

  • ・支えにできる歯が残っていて、歯の根や歯周組織の状態が保たれている方
  • ・金属のバネが見た目で気になる方
  • ・治療期間と費用について、あらかじめ納得したうえで進めたい方
  • ・日々の手入れと定期検診を続けられる方

一方で、次のような場合は、ほかの選択肢のほうが合うことがあります。

奥歯の入れ歯を種類ごとに写真で比べたい方は【奥歯の入れ歯を入れたい方、必見!】、インプラントとの違いで迷っている方はインプラントと入れ歯、条件で選ぶ考え方もあわせてご覧ください。保険の入れ歯で十分かどうかから考えたい方はこちらの記事をご参照ください。優劣ではなく、ご自身の歯の状態と生活に合う条件で選んでいただくことが大切です。


費用と治療期間の目安(すべて税込・自由診療)

正確な金額は、診察と検査のうえでお見積りをお出しします。最新の料金は料金ページでご確認いただけます。

項目 費用
無料メール相談 無料
来院相談(パノラマレントゲンでお口全体を確認) 5,500円
精密検査・治療計画・お見積り 33,000円
コーヌステレスコープ 1,810,000円〜4,120,000円
リーゲルテレスコープ 2,190,000円〜3,670,000円
レジリエンツテレスコープ(残っている歯が少ない場合) 1,650,000円〜2,970,000円
総入れ歯(上下) 2,750,000円
総入れ歯(片顎のみ) 1,430,000円
金属床義歯(部分入れ歯) 880,000円〜1,320,000円
ノンクラスプデンチャー(部分入れ歯) 自費の入れ歯です。費用は診察のうえでご案内します
  • ・上下両方のあごにドイツ式入れ歯(部分入れ歯)を作る場合は、合計金額から10%を割り引きます
  • ・むし歯・歯周病の治療や抜歯が必要な場合は、別途保険診療の費用がかかります
  • ・完成後の調整は3回まで費用に含まれます。4回目以降の調整と、噛み合わせが安定したあとの定期メインテナンスは別途費用がかかります
  • ・入れ歯の自由診療の費用は、医療費控除の対象になります(詳しくは国税庁の案内をご確認ください)

※2026年9月時点の費用です。改定する場合があります。

治療期間の目安

  • ・テレスコープ義歯・自費の総入れ歯…およそ6か月〜1年
  • ・金属床の部分入れ歯…およそ6か月〜10か月(抜歯した場合は、さらにかかります)

知っておいていただきたいリスク・副作用

  • ・支えにする歯を削ります…被せ物治療と同程度、歯の表面を削る処置が必要です
  • ・慣れるまで時間がかかります…違和感や話しにくさ、入れ歯の出し入れの練習が必要になることがあります
  • ・内冠が外れることがあります…接着が弱くなり、再接着や作り直しが必要になる場合があります
  • ・前装(外側の白い部分)の修理が必要になることがあります…すり減りや欠けが生じた場合、修理で対応します
  • ・調整や作り直しが必要になることがあります…歯ぐきの下の骨は年月とともにやせていくため、裏打ち(内側の作り直し)や調整が必要になることがあります
  • ・清掃が不十分だと、支えにしている歯がむし歯や歯周病になることがあります
  • ・装着後も、定期的な検診が必要です
  • ・保険の入れ歯に比べて、費用は高く、治療期間も長くなります

よくあるご質問

Q. 歯を削る量はどのくらいですか?

被せ物(セラミック)を入れるときとほぼ同程度の量です。歯の神経が残っている場合は、必要に応じて麻酔をしたうえで削ります。

Q. 何年くらいもちますか?

個人差が大きく、年数を一概にお答えすることはできません。支えにしている歯の本数や状態、手入れ、定期検診の頻度によって変わってきます。修理をしながら長く使えるよう設計されています。

Q. ほかの歯科医院でインプラントは難しいと言われましたが、テレスコープ義歯はできますか?

持病や骨の状態によってインプラントが難しい場合でも、支えにできる歯が残っていれば、テレスコープ義歯を検討できることがあります。まずはお口の状態を確認させてください。

Q. 上下同時に治療できますか?

はい。上下両方のあごにテレスコープ義歯を作る場合は、合計金額から10%を割り引きます。診査・型どり・噛み合わせの記録などの工程をまとめて行えるためです。

Q. 相談だけでも大丈夫ですか?

はい。その日に治療を決める必要はありません。院長が直接お答えする無料メール相談もご用意しています。


まとめ

  • 1.テレスコープ義歯には、歯を削る・費用が高い・期間が長いなどのデメリットがあり、その理由は内冠と外冠を精密に作る設計にあります
  • 2.支えにする歯の状態を見ずに決めたり、清掃と定期検診が続かなかったりすると、後悔につながりやすくなります
  • 3.研究では、テレスコープ義歯と金属のバネの入れ歯とで、5年後に使えていた割合に大きな差はなかったと報告されています
  • 4.内冠が外れる、前装が欠けるといった不具合が起きても、修理しながら使い続けられる設計です
  • 5.テレスコープ義歯が向くかどうかは、優劣ではなく、ご自身の歯の状態と生活に合う条件で判断するものです

家族のことを優先して、ご自身の歯のことを後回しにしてこられた方も、まずは今のお口の状態を知ることから始めてみてください。支えにできる歯の状態を拝見し、考えられる選択肢と、それぞれの費用・期間・気をつけたい点をご説明します。

ご相談の流れ

  • 1.ホームページの予約フォーム、またはお電話でご予約ください
  • 2.今お使いの入れ歯があれば、お持ちください
  • 3.レントゲンでお口全体を確認し、今の状態と考えられる選択肢をご説明します(来院相談 5,500円)
  • 4.それぞれの費用・期間・気をつけたい点をお伝えします。お持ち帰りいただき、ご家族とご相談のうえでお決めください

まずはメールでという方のために、院長が直接お答えする無料メール相談もご用意しています。診察やレントゲン撮影は行いません。


参考文献

  • ・Wöstmann B, Balkenhol M, Weber A, Ferger P, Rehmann P. Long-term analysis of telescopic crown retained removable partial dentures: survival and need for maintenance. J Dent. 2007;35(12):939-945.
  • ・Drummond LB, Bezerra AP, Feldmann A, Gonçalves TM. Long-term assessment of the periodontal health of removable partial denture wearers: A systematic review and meta-analysis. J Prosthet Dent. 2025;134(5):1664-1685.
  • ・Tada S, Ikebe K, Matsuda K, Maeda Y. Multifactorial risk assessment for survival of abutments of removable partial dentures based on practice-based longitudinal study. J Dent. 2013;41(12):1175-1180.

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応や結果には個人差があります。実際の診断・治療方針は、必ず歯科医師の診察を受けたうえでお決めください。

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イーストワン歯科本八幡

住所:千葉県市川市八幡3-19-1

京成八幡WESTCOURT 2F

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