歯が1本でも残っているなら、総入れ歯にする前に知ってほしい レジリエンツテレスコープとは何か【本八幡の歯科医師が解説】

query_builder 2026/04/29

もう歯を全部抜いて総入れ歯にするしかありませんね。

残っている歯が少なすぎて、入れ歯を支えられません。


そう言われて、ショックを受けていませんか?

歯が1~2本しか残っていなくても、その歯を抜かずに生かすという選択肢があります。

それがドイツ生まれのレジリエンツテレスコープです。

聞きなれない名前かもしれません。でも歯がほとんどない状態でも残った歯をできる限り利用しながら見た目、かみ心地を整える方法を知っていただきたく今回の記事を書きました。

歯を全部抜いて総入れ歯を勧められている方、インプラントが難しいと言われた方、ぜひ最後までお読みください。


<この記事でわかること>

・レジリエンツテレスコープの仕組みと総入れ歯との違い

・コーヌステレスコープと保険の入れ歯との違い

・レジリエンツテレスコープの5つのメリット

・費用の目安、治療の流れ、よくある質問


レジリエンツテレスコープとはー仕組みをわかりやすく解説


まずレジリエンツテレスコープという名前について。レジリエンツとは弾力性、しなやかさを意味します。1960年代にドイツのチュービンゲン大学で開発されたこの治療法は60年以上にわたる臨床実績を持つ確立された技術です。日本でも私が所属するスタディグループIPSG(包括歯科医療研究会)などを通じて学べます。


粘膜で支え、歯は横ずれ防止だけに使うという発想の転換

通常の部分入れ歯は残っている歯に支えを求めて入れ歯を支えます。これに対してレジリエンツテレスコープは入れ歯を支える主役を歯ではなく歯茎(粘膜)にも求め噛む力を分散させます。

残っている歯は入れ歯の横揺れ防止や位置の安定をします。

残っている歯の本数が1~4本程度しか残せない場合に適用されることが多いです。


内冠の役割

残っている歯には内冠と呼ぶ薄い金属の冠を被せます。入れ歯の内側にはこの内冠を包むように外冠が設置されています。入れ歯を装着したとき内冠と外冠の間にわずかな「隙間」が設けられています。この隙間がポイントです。噛んだ時に入れ歯は粘膜に向かって沈み込みます。この隙間があるために歯にかかる強い力が緩衝されます。なので歯を少しでも守ることができます。


内冠


入れ歯の内面に設置された外冠



歯根膜を1本でも残すことの大切さ

歯の根の周りには歯根膜と呼ばれる薄い組織があります。噛んだ時の感覚ー食べ物の硬さ、温度、食感をこの歯根膜が感知して脳に伝えます。総入れ歯では歯をすべて抜くためこの感覚がゼロになりますがレジリエンツテレスコープなら1本でも残すことでこの感覚を保てます。


保険の入れ歯、コーヌステレスコープ、レジリエンツテレスコープの違い


自分の状況にどれが一番向いているかを判断するために3つの選択肢を比較します。



レジリエンツテレスコープ コーヌステレスコープ 保険の部分入れ歯
残っている歯の本数 1~3本が目安 4本以上が目安 1本以上
支える方法 粘膜 歯(二重冠による摩擦) バネ(クラスプ)を歯にひっかける
噛んだ感覚 歯根膜を通し感覚が残る 最も天然歯に近い感覚 天然歯の30~40%
見た目 バネがない・自然・総入れ歯形態 バネなし・自然 金属のバネ見える
弱った歯への対応 弱くてもできる限り使う設計 神経のある歯が基本 バネが歯に負担をかける
歯を失った後 修理のみでそのまま使用 修理対応可 再製作が必要な場合もある
費用目安 150~200万円(自費) 200~300万円(自費) 自己負担 数千円~

表をみて気づいていただきたいのはレジリエンツテレスコープが残存歯の少ない、弱い方のための設計である点です。

コーヌステレスコープは神経のある残存歯の本数がある程度ないと強度が保てません。一方でレジリエンツテレスコープはその条件を満たさない方でも選べる設計となります。


総入れ歯との違い

総入れ歯との違いは「歯を抜くかどうか」です。

・総入れ歯:残っている歯をすべて抜いてから作製する。

・レジリエンツテレスコープ:1本でも歯が残せるならその歯を利用して使う。歯根膜を通じた噛む感覚が残る。


レジリエンツテレスコープは将来的に歯を失っても修理してそのまま使うことができます。まだ抜かないでいい選択肢があるなら先に試してほしいというのが私の考えです。


レジリエンツテレスコープの5つのメリット


レジリエンツテレスコープは患者様の生活を豊かにする多くのメリットを備えています。


メリット① 弱った歯でも抜かずに使える


少しぐらぐらしている歯でもレジリエンツテレスコープの内冠に使える可能性があります。支える役割を担うのではなく弱くても横ずれ防止として限定的な役割を果たせれば十分です。


メリット② 将来、歯を失ってもそのまま使える


レジリエンツテレスコープの大きな安心感は将来への対応力です。万が一、内冠を被せた歯を失うことになっても入れ歯の修理で同じ入れ歯を使い続ける場合が多いです。


メリット③ 口元のボリューム、ほうれい線の改善


歯を失うとそれを支えていた骨が吸収されて口元がへこみほうれい線が深くなります。「歳をとって口元が老けた」と感じる方の多くはこの骨吸収が原因です。

レジリエンツテレスコープは総入れ歯の形態のため入れ歯の人工歯、人工歯肉部分で口元のボリュームを出せます。元の歯があった位置をなるべく再現し自然なふくらみを取り戻すことでほうれい線、口周りのしわを目立たなくする効果が期待できます。

口元の印象を若返らせる点はとくに女性患者様から喜ばれています。


メリット④ 外科手術なし、インプラントの代替として


インプラントは骨量不足、骨粗鬆症の薬、全身状態などで断られるケースが多くあります。レジリエンツテレスコープは大きな外科的な手術を伴わなためインプラントが難しいと言われた方でも選べる選択肢です。


メリット⑤ 就寝時も外さなくていい


レジリエンツテレスコープは就寝時も装着したままでいられます。外すのは食後の歯磨きのタイミングで構いません。もしくは入浴中に入れ歯を磨いて洗浄剤に浸しておくこともできます。

入れ歯を外した姿を家族に見られたくないという方にとってこれは日常生活の大きな安心感に繋がります。夜間も歯があることで顎の関節の安定や顔の形の崩れを防ぐ効果もあります。


レジリエンツテレスコープが向いている方・向いていない方


自分はレジリエンツテレスコープの対象になるのか、気になるところですよね。


このような方にお勧めしています


✓残存歯が1~3本程度の方(目安です)

✓「もう歯を全部抜いて総入れ歯に」と言われた方

✓歯が弱っているができれば残したい方

✓インプラントが骨量、全身状態で難しい方

✓口元のボリューム、ほうれい線が気になる方

✓入れ歯を外さずに就寝したい方


別の選択肢が適切な方

レジリエンツテレスコープが全ての方に最適ではありません。以下の場合は異なるご提案をします。


✓残存歯が全くない場合

✓残存歯が5本以上で状態が良い場合

✓重度の歯周病の場合


向いているかどうかはお口の状態を確認しなければ判断できません。まずはカウンセリングで現状を拝見させてください。


費用の目安と治療の流れ


費用の目安

レジリエンツテレスコープは自費診療です。市場の費用感は片顎あたり100~200万円程度が相場となっています。ただし残存歯の本数、前処置の範囲などによって大きく変わってきます。当院での費用は初診カウンセリングでお伝えします。


なお自費の入れ歯治療は医療費控除の対象です。年間の医療費の合計が一定額を超えた場合、確定申告で税金の一部還付が受けられます。当院のホームページの医療費控除計算機もぜひご活用ください。(料金ページ→医療費控除のご案内→シュミレーション→医療費控除計算機)


治療の流れ

1.初診カウンセリング

現在の歯、入れ歯の状態を確認。レジリエンツテレスコープを含む選択肢と費用、期間を丁寧にご説明します。治療を決めなくてもOKです。


2.前処置(必要な場合)

歯周病、虫歯など先に対処が必要な問題があれば処置を行います。


3.仮の入れ歯の作製

型どり、かみ合わせを行い仮の入れ歯を作製します。


4.内冠の作製

精密な型どりを行い信頼できる歯科技工士さんと連携して内冠を製作します。


5.内冠の試適、レジリエンツテレスコープの精密な型どり

出来上がった内冠を歯に入れて精密な型どりを行います。



ゴシックアーチと呼ばれる装置でかみ合わせをとります。


6.歯を並べて仮合わせ

人工歯を並べ仮合わせします。




7.装着・調整・メインテナンス


本装着も丁寧に行います。長く安定して使っていただくために定期メインテナンスをご案内します。




治療期間の目安:前処置の内容によりますがカウンセリングから本装着まで概ね6~12ヵ月程度です。


よくいただくご質問


Q:レジリエンツテレスコープはコーヌステレスコープと何が違うのでしょうか?


A:大きな違いは入れ歯を支えているのが歯なのか粘膜なのかです。コーヌステレスコープは残存歯の内冠と入れ歯側の外冠がお茶筒のような摩擦で入れ歯を支えています。レジリエンツテレスコープは歯茎(粘膜)で支え、歯は横ずれを防ぐ役割だけを担います。残存歯が少ない、弱い方にはレジリエンツテレスコープの方がよいです。


Q.歯が1本しか残っていませんが対象になりますか?


A.残存歯が1本でもレジリエンツテレスコープの適応になる可能性があります。ただし残存歯の状態(歯周病の程度、歯の位置など)によって判断が変わります。まずはカウンセリングで現状を確認させてください。


Q.将来、内冠を被せたを失った場合はどうなりますか?


A.万が一その歯を失っても入れ歯を修理しそのままレジリエンツテレスコープを使うケースがほとんどです。

作り直しはほぼ不要なため長期的な費用を抑えられます。


Q.就寝時も装着したままでいいですか?


A.はい。就寝時も装着したままでいられます。外すのは歯磨きのタイミングや洗浄剤を使用する場合は入浴中にできます。入れ歯を外した姿を家族に見せたくない方に喜ばれています。


Q.インプラントと比べてどちらがよいですか?


A.インプラントは骨に固定されて最も安定する治療です。しかし骨量、全身状態によって制約があります。レジリエンツテレスコープはインプラントが難しい方でも対応できます。どちらが最適かはお口の中の状態、ご希望、全身状態によって異なります。当院ではどちらの選択肢も正直にご説明したうえでご判断いただきます。


まとめ


この記事でお伝えしたことを整理します。


・レジリエンツテレスコープは残存歯が1~3本程度の方のためのドイツ式入れ歯。粘膜で支え歯には横ずれ防止の担わせる設計で弱った歯でも抜かずに使えることが多い。


・総入れ歯との違いはすべての歯を抜かないこと。歯根膜を通じた噛む感覚を残し将来の歯の喪失にはほぼ修理で対応できる。


・口元のボリューム、ほうれい線の改善、インプラントの代替、就寝時装着可能。


・費用は自費で片顎100~200万円程度が相場。医療費控除の対象。正確な費用はカウンセリングで確認。



もう総入れ歯しかないと思っている方にもう一つの選択肢があることを知っていただけたら幸いです。諦める前に一度ご相談ください。

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イーストワン歯科本八幡

住所:千葉県市川市八幡3-19-1

京成八幡WESTCOURT 2F

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