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【ブリッジ治療を検討中の方、必見!】ブリッジの適切な選び方と注意点
歯を抜いてそのまま放置している方、現在治療中でこれから歯を抜く方でブリッジ治療について悩んでいませんか?そのお悩みがブリッジ治療で解決したら歯があった頃とほぼ同じような感覚で噛めてお食事ができるので嬉しいですよね。いくつかの条件が合えばブリッジ治療は可能です。ブリッジ治療はインプラントのような大掛かりな外科手術は必要ありませんので負担が少ない治療です。
この記事でご自分のお口の中にブリッジ治療が可能かどうか、可能であればどのような種類のブリッジが適しているのかをおおよそ知ることができます。
目次
1章:ブリッジ治療とは
2章:ブリッジの種類
2-1:一般的なブリッジ(保険)
2-2:セラミックブリッジ(自費)
2-3:接着性ブリッジ(自費)
2-4:ロングスパンブリッジ(自費)
3章:ブリッジ治療のメリット、デメリット
3-1:ブリッジ治療のメリット
3-1:ブリッジ治療のデメリット
4章:ブリッジ治療を延ばす5つのポイント
4-1:必ず歯間ブラシを使用する
4-2:定期的に歯科医院でクリーニングをする
4-3:歯科医院でかみ合わせをチェックしてもらう
4-4:ブリッジの寿命を延ばす無理のない設計をする
4-5:支えの歯の診査を行い診断する
4-6:ブリッジを装着する際の適切な処理を行う
5章:ブリッジ治療の注意点
5-1:トラブルを起こしやすいブリッジ
5-1-1:支えの歯と欠損の歯のバランスが崩れているロングスパンのブリッジ
5-1-2:延長ブリッジ
5-1-3:支えの歯が傾斜しているブリッジ
5-1-4:歯がない部分の歯茎が異常に下がっている
5-2:奥歯にブリッジ治療ができないケースとは
6章:ブリッジ治療は再治療ができないケース
6-1:ブリッジが外れた場合
6-2:ブリッジが欠けた場合
6-3:ブリッジの支えの歯が虫歯になった場合
6-4:ブリッジの支えの歯が割れた場合
7章:再治療が可能な方法~テレスコープ義歯~
まとめ
1章:ブリッジ治療とは
ブリッジ治療は「橋」のように失った歯の両隣の健康な歯を支えとして失った歯の部分に人工の歯を架ける治療です。連続した被せ物をセメントで固定しますので取り外しの必要がなく見た目に歯がないことが分かりにくいことが特徴です。
2章:ブリッジの種類
ブリッジは使用する材料と構造により主に4種類に分けられます。それぞれの特徴について説明します。
2-1:一般的なブリッジ(保険)
一般的なブリッジの材料は歯の場所によって異なります。糸切り歯から後ろ隣の歯から奥歯までは金銀パラジウム合金が使用されいわゆる銀歯になります。笑った時に金属が見えることがあります。糸切り歯から前歯はレジン前装冠と呼ぶ金属の裏打ちの表にプラスチックの白い材料を貼り付けるものになります。プラスチックなので傷がつきやすいので汚れが溜まりやすいです。また変色しやすいことが欠点です。
2-2:セラミックブリッジ(自費)
セラミックブリッジは材料にセラミックを使用するもので主に以下の3種類があります。見た目が自然な白色で汚れが付きにくいのでお手入れのしやすさが特徴です。
2-2-1:メタルボンドブリッジ
金属の裏打ちにポーセレン(陶材)を盛って歯の形や色を仕上げるブリッジです。金属は貴金属を使用します。ご自身の歯に近い色に仕上がります。
2-2-2:オールセラミックブリッジ
金属を使用せず全てセラミック素材を使用するのでメタルボンドより透明感があり自然な仕上がりになります。金属を使用していないのでアレルギーの心配はありません。
2-2-3:ジルコニアブリッジ
ジルコニアブリッジはセラミックの中でも強度のある材料です。ご自身の歯に近い色に仕上がります。金属を使用していないのでアレルギーの心配はありません。
2-3:接着性ブリッジ
接着性ブリッジはほとんど歯を削らずに歯の表層のエナメル質と呼ぶ層に接着させるブリッジです。あまり歯を削らないため外れたり破折したりすることがあります。適応症が限られています。
2-4:ロングスパンブリッジ
ロングスパンブリッジは複数の歯がない場合に行う長いブリッジのことです。ブリッジの支えとなる歯の状態やその場所によってロングスパンブリッジの寿命が左右されるため最初の診査診断と設計が重要です。
2-4-1:歯周病の方へのロングスパンブリッジ
歯周病で歯を失った方が一般的な入れ歯治療をした場合、残っている歯に架けるクラスプ(金属のバネ)によって歯が揺さぶられるため早期に歯を失うことが予想されます。またインプラント治療をした場合は歯周病に罹患した残っている歯の寿命を延ばすことができないことがあります。ロングスパンブリッジは失った歯の部分を補い同時に歯周病の歯を連結固定することで噛むことができます。ただし適応症が限られます。
3章:ブリッジ治療のメリット、デメリット
3-1:ブリッジ治療のメリット
・失った歯を補えると同時に支えとなる歯のかみ合わせを改善できる
・インプラント治療のような外科処置がない
・全身疾患でインプラント治療が禁忌の方でも多くの場合、治療ができる
・周りの歯と同じような感覚で噛める
・歯にしっかり固定できる
・メインテナンス比較的しやすい
3-2:ブリッジ治療のデメリット
・支えのための歯を削る必要がある
・支えの歯に負担が掛かる
・失った歯の隣に歯がない場合ブリッジ治療ができないことがある
4章:ブリッジの寿命を延ばす5つのポイント
4-1:必ず歯間ブラシを併用する
ブリッジのつなぎ目の部分は必ず歯間ブラシを通して汚れを取ります。歯ブラシは毛先を歯と歯茎の境目に当てその際の力は100g程度(毛がしならない程度の力)で小刻みに振動させて汚れを落とします。ブリッジの橋桁(ポンティックと呼びます)の底面と歯茎の間は可能であればスーパーフロスを通して清掃します。スーパーフロスは糸の端の数センチが少し固めで隙間に入りやすくなっており中央部のスポンジ状の部分をポンティックの下に通して汚れを取る道具です。なかなか通しにくいので無理に行わなくても結構です。
4-2:定期的に歯科医院でクリーニングする
丁寧にブラッシングを毎日行っていても意外に磨き残しはあるものです。3,4か月に1度、歯科医院でクリーニングをしてもらうと虫歯や歯周病の予防ができます。ポンティックの底面の汚れもこの時に清掃してもらいましょう。
4-3:かみ合わせのチェックをしてもらう
ブリッジ治療に限らず被せ物は人工物なので天然歯との物性が異なるためかみ合わせが変化します。歯科医院でのクリーニングの際にかみ合わせをチェックしてもらい必要であれば調整してもらいましょう。
4-4:ブリッジの寿命をなるべく延ばす無理のない設計をする
歯の本数が複数ない、どの場所の歯がないのか、などによってブリッジの設計が異なります。無理な設計をするとブリッジの寿命を延ばすことができません。
4-5:ブリッジの支えの歯を診査し診断する
ブリッジの支えの歯が良い状態であれば寿命が延びます。
ポイントとして
・支えの歯の神経をなるべく取らない
・すでに神経の処置をしている歯の状態を診断し条件を満たしているか判断する
・歯周病治療をしっかり行う
・支えの歯は根の長さや骨の支えが十分ある歯を選ぶこと
が挙げられます。
4-5:ブリッジを装着する際の処理
ブリッジを歯に装着する際に歯茎からの出血や唾液で歯の面が汚染されていると接着力が低下します。またブリッジの内面が汚染されていても同様です。装着前には装着する歯とブリッジ内面を必ず水洗し処理液やブリッジの内面はサンドブラストと呼ぶ器械で砂を吹き付けて汚染物を除去し適切な操作でセメントで装着します。
5章:ブリッジ治療の注意点
ブリッジがお口の中でなるべく長く使用するには支えとなる歯やそれ以外の歯の状態とブリッジの設計がとても重要になります。無理な設計は早期にブリッジが使えなくなります。再治療の際には同じブリッジ治療ができないケースがあります。
この章では不安な設計、奥歯にブリッジができないケースを解説します。
5-1:問題を起こしやすい不安な設計
5-1-1:支えの歯と欠損の歯とのバランスが崩れているロングスパンブリッジ
支えの歯に対して欠損の歯の本数が同じかもしくは多いとブリッジが持ちません。例えば2本歯がなくその両隣の2本で支えているケースです。
5-1-2:延長ブリッジ
良く見られる一番奥の歯が1本なく手前の2本で支えているブリッジを延長ブリッジといいます。このようなブリッジは梃子の力で支えの歯に負担が掛かりすぎてしまいます。
5-1-3:支えの歯が傾斜している
歯が抜けたまま放置していた、もともと歯が傾斜しているような歯をブリッジの支えにした場合噛んだ力が傾斜を促す方向に掛かりブリッジが外れやすくなります。また傾斜した歯をブリッジを外れにくい構造にすることが困難になりブリッジが外れやすくなります。
5-2:奥歯にブリッジ治療ができないケース
奥歯にブリッジができないケースは
・4本以上連続して歯がない場合
・一番奥の歯が2本以上連続して歯がない場合
・支えの歯がぐらついている、虫歯でボロボロな状態など健康でない場合
このような場合はブリッジ治療以外の方法を検討します。
6章:ブリッジ治療の再治療が可能か
ブリッジ治療に問題が生じた場合、再治療ができる場合とできない場合があります。この時に重要になるのはブリッジの支えの歯が保存できるかどうかとブリッジの破損状態です。
6-1:ブリッジが外れた場合
ブリッジが外れても支えの歯に問題がなければかみ合わせなどを調整することで再装着が可能です。支えの歯が割れているひびが入っている場合は保存ができないため抜歯し新たに支えの歯を設けてブリッジを再製作します。ただし新たな支えの歯がない場合は他の方法で治療しなければなりません。
6-2:ブリッジが欠けた場合
ブリッジの材料のセラミックが欠けた場合、状態によりそのまま研磨して使用できることもあります。大きく欠けた場合は修復が可能なこともありますが耐久性が劣るため長持ちしないこともあります。修復ができない場合で支えの歯に異常がなければブリッジを取り壊して新たに作ることができます。
6-3:ブリッジの支えの歯が虫歯になった場合
ブリッジの支えの歯の神経が生きている歯で虫歯によって神経を取る場合はブリッジの一部に穴を開けて処置ができることがあります。ブリッジの支えの歯の神経がなくても治療をしないといけない場合はブリッジを取り壊します。この歯が保存できればまた同じブリッジを作ることができます。
6-4:ブリッジの支えの歯が割れた場合
ブリッジの支えの歯が割れてしまい保存できない場合は抜歯せざるを得ません。新たに支えの歯を設けてブリッジを作り直すかそうでない場合は他の方法で治療します。
7章:再治療が可能な方法~テレスコープ義歯~
テレスコープ義歯は本来入れ歯のひとつですが取り外し可能なブリッジとして使用することができます。噛み心地や見た目はブリッジとほぼ同じです。(当院のホームページではドイツ式部分入れ歯となります。)
例えばロングスパンのブリッジで支えの歯が抜歯になった場合、ブリッジでは取り壊して再度ブリッジ治療ができない場合は入れ歯治療かインプラント治療になります。テレスコープ義歯は修理が可能なので取り壊さずそのまま修理して使用できます。
取り外しが可能ですので清掃しやすく衛生的です。就寝時は装着してお休みいただけます。
まとめ
ブリッジ治療の種類は主に4種類で1,一般的なブリッジ(保険)2,セラミックブリッジ(自費)3、接着性ブリッジ
4、ロングスパンブリッジです。
皆さんが良く質問する「ブリッジはどれくらい持つのか?」ですがブリッジの生存率についての論文を簡単ですが以下に挙げます。
2008年日本補綴学会「1歯の中間欠損に対して5年生存率でみるとインプラントとブリッジでは差がなく機能的にもインプラントが有効だというエビデンスは存在していない」
スイス ベルン大学歯学部 Pjetursson「ブリッジ装着後の10年生存率はブリッジ89.2%、インプラント86.7%」
※1歯の中間欠損とは1本の歯がなくその両隣の歯を支えにした3本のブリッジです。
この論文からブリッジを長持ちさせるにはご自身のメインテナンスの他に支えの歯の状態、設計が重要で支えの歯や設計の条件が揃えば長く使うことができることが読み取れます。
ブリッジ治療でお悩みの方はこの記事を参考にして下さい。
筆者プロフィール
イーストワン歯科本八幡
東 郁子■経歴
- 平成6年 鶴見大学歯学部 卒業
- 平成7年 鶴見大学付属病院研修医 修了
- 平成7年 都内の歯科医院 勤務
- 平成30年 イーストワン歯科本八幡 開院
■所属学会/スタディグループ
- ●IPSG包括歯科医療研究会
- 第2回咬合認定医コース受講 咬合認定医 取得
- 総義歯の基礎と臨床 受講
- 顎関節症ライブ実習コース 受講
- パーシャルデンチャーとテレスコープシステム 理論と実習コース 受講
- 咬合治療の臨床 受講
- ●日本臨床歯科医学会
- レギュラーコース 受講
- ●顎咬合学会