骨密度が下がり骨粗鬆症の検査や治療を勧められた50代以降の女性へ。骨密度と歯(歯槽骨)の関係、お薬を飲みながら歯科治療を受けられるか、入れ歯の選択肢まで、市川市本八幡の歯科医師がわかりやすく解説します。
こんなことで迷っていませんか
次のようなことで迷っていらっしゃいませんか。
- □ 骨密度の検査で、骨が少し弱くなっていると言われた
- □ 整形外科などで骨粗鬆症のお薬を勧められたが、歯のことが心配で踏み切れない
- □ すでにお薬を飲んでいて、抜歯や歯科治療を受けられるか不安
- □ 歯ぐきが下がってきた、歯が揺れる気がする
- □ 「骨密度と歯の関係」について正しく知りたい
- □ 入れ歯を含め、外科的な処置を避けられる治療の選択肢を知りたい
「骨粗鬆症 50代」「骨密度と歯の関係」「骨粗鬆症 入れ歯」といった言葉で調べてこの記事にたどり着いた方も多いと思います。この記事では、閉経後の女性に起きている骨と歯の変化から、お薬と歯科治療の関係、入れ歯を含めた治療の選択肢まで、順を追ってわかりやすくお伝えします。
閉経後に起きている、骨と歯の変化
「最近、歯ぐきが下がってきた気がする」「歯が以前より長く見える」「歯が揺れるようになった」——そう感じる方が増えるのが、ちょうど閉経前後の時期です。これは年齢のせいだけでなく、女性ホルモンと骨の関係が背景にあります。
エストロゲンと歯槽骨の関係
女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」には、骨が壊れていくのを抑え、骨を丈夫に保つ働きがあります。閉経を迎えるとエストロゲンが減少し、全身の骨密度が下がりやすくなりますが、これは全身の骨だけの話ではありません。歯を支えているあごの骨(歯槽骨)の状態にも関連があることが、日本人の閉経後の女性を対象とした研究を含む複数の報告で示されています。骨密度の低下と、歯を支える骨の変化には関連があると考えておくとよいでしょう。
唾液の分泌量も減っていきます
更年期以降は、唾液の分泌量が減りやすくなることも報告されています。唾液には、お口の中を洗い流し、細菌の増殖を抑える大切な働きがあります。唾液が減ることは、歯周病のリスクにも間接的に関わるとされています。
骨粗鬆症は気づかないまま進むことがある
骨粗鬆症の患者さんは、日本に推定1,000万人以上いるとされています。骨粗鬆症の特徴のひとつに、自覚症状のないまま進行することが挙げられ、気づかないまま進むことがあります。「少し転んだだけで骨折してしまった」「背中が丸くなってきた」「身長が縮んできた気がする」——こうした変化は、骨が静かに弱っているサインかもしれません。そして、お口の中でも同じように、静かな変化が進んでいる可能性があります。
歯を支える骨の変化に気づかないまま歯を失ってしまうと、噛む力だけでなく、お顔の印象にも影響することがあります。歯を失うとお顔がどう変わるかについてはこちらの記事で詳しく解説しています。骨密度の検査を受けたり、骨粗鬆症のお薬を勧められたりした時期は、お口の状態を見直すよい機会でもあります。長年歯科を受診できていなかった方はこちらの記事もあわせてご覧ください。
お薬と歯科治療|知っておきたい3つのポイント
骨粗鬆症と歯科治療について、特に気をつけたいのが「お薬との関係」です。よくある誤解と、実際のところを整理してお伝えします。
1. お薬を続けながら歯科治療を受けられることが多い
「お薬を飲んでいる間は、歯科治療は受けられないのでは」と心配される方は少なくありません。ですが実際には、骨粗鬆症の治療で使う量のお薬を服用・注射中であっても、休薬せずに歯科治療を続けられることが多いとされています。虫歯の治療や歯周病のケア、入れ歯の調整など、日常的な歯科治療の多くは服薬中でも行えます。抜歯などの外科的な処置についても、休薬しないことを基本としたうえで治療を進める考え方が、関連学会の合同委員会がまとめた最新の指針(2023年)で示されています。治療の進め方は、お薬の種類や服用期間、全身の状態によって異なりますので、歯科医師にご相談ください。
2. お薬を始める前に、お口を整えておく
これから骨粗鬆症の治療を始める予定がある方には、お薬を使い始める前に、虫歯や歯周病の治療、抜歯が必要な歯の処置をあらかじめ済ませておくことをお勧めしています。お薬を始めたあとに抜歯が必要になるよりも、始める前に治療を済ませておくほうが、お口を整えやすいためです。これから治療を始める方は、早めに歯科でチェックを受け、処方医と歯科医師の間で治療計画を共有しておくことが大切です。
3. お薬手帳を持参し、自己判断で中止しない
すでにお薬を服用・注射されている方が歯科を受診される際は、お薬手帳をお持ちいただき、お薬の種類(内服か注射か)、服用を始めた時期を正確にお伝えください。これらの情報によって、歯科治療の進め方が変わってきます。また、ご自分の判断でお薬を中止することは避けてください。お薬を中止することの有用性を示す根拠はなく、それよりも骨折のリスクが上回ることが指摘されています。中止や変更が必要かどうかの判断は、処方医の先生にご相談ください。
顎骨壊死について正しく知る
骨粗鬆症の治療によく使われるお薬に、ビスホスホネート系薬剤(BP製剤)やデノスマブといった「骨吸収を抑えるお薬」があります。これらのお薬は骨を丈夫に保つために大切な薬ですが、まれに「顎骨壊死(がっこつえし)」と呼ばれるあごの骨のトラブルを引き起こすことが報告されています。
骨粗鬆症の治療で使われるお薬(内服・低用量の注射薬とも)で顎骨壊死が起こる頻度は、決して高くありません。国内のレセプトデータを用いた調査では、BP製剤を投与された骨粗鬆症の患者さんでの発症率は10万人あたり年間22.9人と報告されています。低用量のデノスマブ製剤(プラリアなど)についても、国際的な集計で10万人あたり年間0〜30.2人程度とされています。
一方、がんの骨転移の治療で使われる、骨粗鬆症の治療よりもずっと多い量のお薬では、顎骨壊死が起こる頻度がこれよりも高くなることがわかっています。骨粗鬆症の治療とがんの骨転移の治療とでは、お薬の量も治療の目的も異なります。服用・注射しているお薬の名前、量、治療目的を処方医と歯科医師に伝え、低用量と高用量を区別して判断することが大切です。
顎骨壊死を防ぐためにできることとして、関連学会の合同委員会がまとめた最新の指針(2023年)では、お薬を始める前にお口の中を整えておくことや、お薬を服用中も定期的に歯科でチェックを受けることが勧められています。日頃から口の中を清潔に保ち、むし歯や歯周病を早めに治療しておくことが、いちばんの備えになります。
骨粗鬆症の方の歯科治療の選択肢
骨粗鬆症をお持ちの方や、抜歯・インプラントなど外科的な処置をできるだけ避けたい方には、入れ歯という選択肢があります。中でも「ドイツ式テレスコープ義歯」は、残っているご自分の歯を土台として活かす、取り外し式の入れ歯です。金属のバネが目立ちにくく、お口の状態に応じて設計します。すべての方に適応するわけではなく、知っておいていただきたい点もありますので、詳しくはこちらの記事でご紹介しています。
当院で製作した、テレスコープ義歯(写真左)と内冠と呼ばれる金属の土台部分(写真右)です。残っている歯の本数や状態、噛み合わせによって適応となる設計は異なりますので、まずはご相談ください。テレスコープ義歯の詳細はドイツ式入れ歯(部分入れ歯)のページでもご紹介しています。私は、日本顎咬合学会の「咬み合わせ認定医」として、噛み合わせと審美性の両立にこだわった治療を行っています。
当院の進め方
イーストワン歯科本八幡では、骨粗鬆症のお薬を飲んでいる方、これから治療を始める予定の方からのご相談を承っています。院長が約1時間かけてお話を伺い、模型や写真を使って、ご自分の状態に合った治療の進め方をわかりやすくご説明いたします。まずは、院長が直接メールでお答えする無料メール相談からお気軽にお始めいただけます。診察やレントゲン撮影は行いません。実際にお口の中を拝見してご相談いただく場合は、パノラマレントゲンでお口全体を確認する来院相談(5,500円)をご用意しています。
費用と治療期間の目安(すべて税込・自由診療)
正確な金額は、診察と検査のうえでお見積りをお出しします。最新の料金は料金ページでご確認いただけます。
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 無料メール相談 | 無料 |
| 来院相談(パノラマレントゲンでお口全体を確認) | 5,500円 |
| 精密検査・治療計画・お見積り | 33,000円 |
| 総入れ歯(上下) | 2,750,000円 |
| 総入れ歯(片顎のみ) | 1,430,000円 |
| コーヌステレスコープ | 1,810,000円〜4,120,000円 |
| リーゲルテレスコープ | 2,190,000円〜3,670,000円 |
| レジリエンツテレスコープ(残っている歯が少ない場合) | 1,650,000円〜2,970,000円 |
| 金属床義歯(部分入れ歯) | 880,000円〜1,320,000円 |
- ・むし歯・歯周病の治療や抜歯が必要な場合は、別途保険診療の費用がかかります
- ・精密検査・治療計画・お見積り(33,000円)は、入れ歯(総入れ歯・ドイツ式入れ歯)の治療をお受けになる場合、治療費に含まれます
- ・完成後の調整は3回まで費用に含まれます。4回目以降の調整と、噛み合わせが安定したあとの定期メインテナンスは別途費用がかかります
- ・入れ歯の自費診療の費用は、医療費控除の対象になります(詳しくは国税庁の案内をご確認ください)
総入れ歯の種類についてはこちらの記事でもご紹介しています。※2026年9月時点の費用です。改定する場合があります。
治療期間の目安
- ・テレスコープ義歯・自費の総入れ歯…およそ6か月〜1年
- ・金属床の部分入れ歯…およそ6か月〜10か月(抜歯が必要な場合は、さらにかかります)
知っておいていただきたいリスク・副作用
- ・慣れるまで時間がかかります…違和感や話しにくさを感じることがあります
- ・調整や作り直しが必要になることがあります…あごの骨は年月とともにやせていくため、裏打ちや調整が必要になります
- ・支えにする歯がある場合は、その歯を削る処置が必要になることがあります
- ・清掃が不十分だと、支えにしている歯がむし歯や歯周病になることがあります
- ・保険診療に比べて費用が高く、治療期間も長くなります
- ・骨粗鬆症のお薬を服用中の方は、抜歯などの外科的な処置を内科・整形外科の主治医と連携しながら進めます
- ・装着後も、定期的な検診が必要です
よくあるご質問
Q1. 骨粗鬆症のお薬を飲んでいると、抜歯はできませんか?
A. 多くの場合、適切な管理のもとで抜歯は可能です。お薬の種類(内服か注射か)、服用期間、全身の状態などによって判断が変わりますので、処方医と歯科医師の両方にご相談ください。自己判断でお薬を中止することは避けていただくのが安心です。
Q2. お薬を飲み始める前に、歯科で何をしてもらえばいいですか?
A. 虫歯や歯周病など、すでにあるお口の中の問題を整えておくことをお勧めします。今後、抜歯が必要になりそうな歯がある場合は、お薬を始める前に処置できるか、処方医と歯科医師に確認してください。歯科医院でレントゲンを撮り、現在の状態を確認しておくとよいでしょう。
Q3. 骨粗鬆症だと、インプラントは受けられませんか?
A. 骨粗鬆症の治療で使う量(低用量)のお薬を服用・注射中の場合、インプラント治療を行ってはいけないという根拠は示されていません。ただし、他のリスク要因(糖尿病、自己免疫疾患、人工透析など)が重なる場合は慎重な検討が必要です。なお、がんの骨転移の治療で使うより多い量のお薬を使用中の方については、ほかに治療の選択肢がある場合、インプラントは避けるべきとされています。他院でインプラントができないと言われた方についてはこちらの記事で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。お口の状態、お薬の種類・量、全身状態を総合的に判断し、テレスコープ義歯など他の選択肢も含めてご提案いたします。
Q4. 歯科治療のために、骨粗鬆症のお薬を自己判断でやめてもいいですか?
A. 自己判断での中止はお控えください。お薬を中止することの有用性を示す根拠はなく、むしろ骨折のリスクの方が上回ることが指摘されています。中止や変更が必要かどうかは、処方医の先生にご相談ください。
まとめ
- 1.閉経後は女性ホルモンの減少にともなって骨密度が下がりやすくなり、歯を支える骨(歯槽骨)にも関連があります
- 2.骨粗鬆症は自覚症状のないまま進むことがあり、お口の中でも静かな変化が進んでいる可能性があります
- 3.骨粗鬆症の治療で使う量のお薬では、休薬せずに歯科治療を続けられることが多いとされています
- 4.顎骨壊死は、骨粗鬆症の治療で使う量では発生頻度が低いものの、ゼロではありません
- 5.お薬を始める前にお口を整え、受診時はお薬手帳を持参し、自己判断でお薬を中止しないことが大切です
- 6.外科的な処置を避けたい方には、テレスコープ義歯という入れ歯の選択肢もあります
ご相談の流れ
- ・無料メール相談:院長が直接メールでお答えします。診察・レントゲン撮影は行いません
- ・来院相談(5,500円):パノラマレントゲンでお口全体を確認し、概算の治療計画(治療法・おおよその費用・期間)をご説明します
ご予約はホームページまたはお電話から承っています。
参考文献
- ・岸本裕充ほか(顎骨壊死検討委員会)「薬剤関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023」日本口腔外科学会・日本骨粗鬆症学会・日本病院薬剤師会・日本歯科放射線学会・日本臨床口腔病理学会・日本骨代謝学会、2023年7月。
- ・Iwasaki M, Taylor GW, Nakamura K, Yoshihara A, Miyazaki H. Association between low bone mineral density and clinical attachment loss in Japanese postmenopausal females. J Periodontol. 2013;84(12):1708-1716.
- ・Taguchi A, Suei Y, Ohtsuka M, Otani K, Tanimoto K, Hollender LG. Relationship between bone mineral density and tooth loss in elderly Japanese women. Dentomaxillofac Radiol. 1999;28(4):219-223.
- ・Labunet A, Objelean A, Kui A, Rusu L, Vigu A, Sava S. Oral Manifestations in Menopause-A Scoping Review. Medicina (Kaunas). 2025;61(5):837.
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応や結果には個人差があります。実際の診断・治療方針は、歯科医師の診察を受けたうえでお決めください。お薬に関する判断は、処方医の先生にご確認ください。
イーストワン歯科本八幡
住所:千葉県市川市八幡3-19-1
京成八幡WESTCOURT 2F
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