【奥歯の入れ歯|写真で見る種類と選び方】保険・金属床・ノンクラスプ・ドイツ式の違いと費用を市川市の歯科医師が解説

query_builder 2023/08/03

奥歯の入れ歯には、保険の部分入れ歯、金属床、ノンクラスプデンチャー、ドイツ式入れ歯(テレスコープ義歯)などがあります。写真で違いを比べ、失った場所や本数による考え方の違い、費用とリスクを市川市本八幡の歯科医師が解説します。

奥歯がなくて、こんなことに困っていませんか

  • □ 反対側や前歯ばかりで噛んでいる
  • □ お肉や繊維のある野菜を、つい避けてしまう
  • □ 「見えないから」と、何年もそのままにしている
  • □ 入れ歯を勧められたが、種類が多くてどれを選べばよいか分からない
  • □ 今の部分入れ歯が合わず、はずして過ごすことが多い

奥歯は前歯と違い、口を開けても目立ちにくい場所にあります。ご家族のことを優先してこられた方ほど、「困ってはいるけれど、なんとか食べられているから」と後回しにしてしまいがちです。

この記事では、奥歯の入れ歯の種類と違いを写真でご紹介したうえで、どの入れ歯がよいかは、失った場所と本数、残っている歯の状態で変わるということをご説明します。


奥歯が担っている役割

奥歯は、食べ物をすりつぶす臼(うす)の役割をしています。噛む面が広く、根も2〜3本に分かれていて、強い力を受け止められるつくりです。

もうひとつの大切な役割が、上下の噛み合わせの高さを支え、前歯に強い力がかからないように守ることです。前歯はもともと、食べ物を噛み切るための歯で、すりつぶす力を受け止めるつくりにはなっていません。

奥歯を失ったままにしていると、次のようなことが起きることがあります。

  • ・歯がなくなった場所に向かって、隣の歯が傾いてくる
  • ・噛み合う相手がいなくなった歯が、少しずつ伸びてくる
  • ・残っている歯や前歯に力が集まり、揺れてくる
  • ・歯が動くことで、あとから入れ歯やブリッジを作るのが難しくなる

歯を失ったままにしたときの体への影響については、【歯がないまま放置するとどうなる?】でご説明しています。


失った場所と本数で、考え方が変わります

「奥歯がない」といっても、どの歯を何本失ったかで、入れ歯が必要かどうか、どんな方法が向いているかは大きく変わります。あてはまるものから、くわしい記事をご覧ください。

失った歯 考え方
一番奥の歯1本だけ 入れ歯を入れなくても、噛む働きが保たれることが多い場所です。【一番奥の歯1本を抜いた後の治療方法について】
奥から2番目の歯 ブリッジ・インプラント・入れ歯を比べて選びます。【下の奥から2番目の奥歯を抜いたらブリッジ?インプラント?】
片側の一番奥から連続2本 ブリッジができない位置です。【片側の一番奥の歯から連続2本ない場合の入れ歯について】
左右両側の奥歯 残っている歯によって、急いで補わなくてよい場合と、補ったほうがよい場合があります。【左右の奥歯がない方へ】
歯が数本しか残っていない 残っている歯を支えにした、総入れ歯に近い形の入れ歯を考えます。【レジリエンツテレスコープとは何か】

写真で比べる、奥歯の入れ歯の種類

奥歯を補う部分入れ歯には、主に次の4つがあります。

1.保険の部分入れ歯

下あごの前歯と左右の奥歯をまとめて補う保険の部分入れ歯。残っている歯に金属のバネをかけて固定する

残っている歯に金属のバネ(クラスプ)をかけて固定し、ピンク色のプラスチックの土台に人工の歯を並べた入れ歯です。保険診療で作ることができ、壊れたときに修理しやすい入れ歯です。

一方で、使える材料や設計に決まりがあるため、プラスチックの土台に一定の厚みが必要で、違和感が出やすい面があります。また、噛むたびにバネをかけた歯が揺さぶられるため、バネをかけた歯はほかの歯より失われやすいという調査があります。

2.金属床の部分入れ歯(自費)

金属床の部分入れ歯。左右の入れ歯を細い金属のバーでつないでいる

入れ歯の土台の一部を金属で作る入れ歯です。金属は薄くても丈夫なため、舌や上あごに触れる部分を薄く小さくでき、違和感が少なくなります。歯の上に乗って沈み込みを止める小さな金属の受け皿(レスト)など、噛む力を受け止める仕組みも組み込みやすくなります。

固定には金属のバネを使うため、バネが見えることがあります。また、バネをかけた歯を失ったときには、修理が難しいことがあります。

3.ノンクラスプデンチャー(自費)

ノンクラスプデンチャー。金属のバネの代わりに、歯ぐきの色の樹脂で歯を抱えて固定する

金属のバネの代わりに、歯ぐきに近い色のやわらかい樹脂で歯を抱え込んで固定する入れ歯です。金属が見えないのが利点です。

ただし日本補綴歯科学会は、この入れ歯について、適応を誤った場合には、入れ歯が乗っている歯ぐきの下の骨が異常にやせたり、支えの歯が動いたりする重大な問題を起こしうるという見解を示しています。見た目を優先して、沈み込みを止めるレストを省いた設計になっていることがあり、その場合は噛む力の多くを歯ぐきで受けることになるためです。強い力がかかる奥歯では、特に設計が大切になります。

また、樹脂は年月とともに変色したり、においや汚れがつきやすくなったりします。自費の入れ歯です。費用は診察のうえでご案内します。詳しくは【ノンクラスプデンチャーの5年後】でご説明しています。

4.ドイツ式入れ歯(テレスコープ義歯・自費)

ドイツ式入れ歯(テレスコープ義歯)。右は支えの歯にかぶせる金属の冠(内冠)、左は内冠にはめ込む入れ歯

支えにする歯に金属の冠(内冠)をかぶせ、入れ歯の側には、それにぴったりはまる冠(外冠)を組み込んだ入れ歯です。お茶筒のふたと胴体のように、はめ込むことで固定します。金属のバネを使わず、支えの歯を冠で包み込んで支えるため、噛む力を歯の根の方向へ伝えやすく、支えの歯を横に揺さぶる力がかかりにくくなります。

残っている歯同士を入れ歯でつなぐことで、力を分け合って受け止めます。支えの歯を失った場合でも、多くは入れ歯を修理して使い続けられます。残っている歯の本数や強さに合わせて、「コーヌステレスコープ」「リーゲルテレスコープ」「レジリエンツテレスコープ」を使い分けます。

一方で、支えの歯を削って冠をかぶせる必要があり、費用が高く、治療期間も長くかかります。

4つの入れ歯の比べ方

種類 良いところ 気をつけたいところ
保険の部分入れ歯 保険診療で作れる/修理しやすい 土台が厚くなりやすい/バネをかけた歯に負担がかかる
金属床の部分入れ歯 薄くできて違和感が少ない/力を受け止める仕組みを組み込みやすい バネが見えることがある/修理が難しいことがある
ノンクラスプデンチャー 金属のバネが見えない 設計によっては骨や支えの歯に負担がかかる/樹脂が変色しやすい
ドイツ式入れ歯 金属のバネを使わない/支えの歯を横に揺さぶりにくい/修理しながら使いやすい 支えの歯を削る/費用が高い/治療期間が長い

入れ歯のほかに、ブリッジやインプラントという方法もあります

  • ・ブリッジ…失った歯の両隣の歯を削り、橋を架けるように人工の歯をつなげて固定します。取り外す必要がない一方で、両隣の歯を削る必要があり、その歯に負担が集まります。一番奥の歯を失っている場合は、後ろに支えがないためブリッジはできません
  • ・インプラント…あごの骨に人工の歯の根を埋め込みます。周りの歯を削らずに済む一方で、外科手術が必要です。骨の量や全身の状態によっては難しい場合があります。費用は診察と検査のうえでご案内します

当院では、どの方法を第一に考えるかは条件によって変わるとお伝えしています。

  • ・ほかの歯がすべて健康な方 … 残っている歯に負担をかけない方法として、インプラントが有力な選択肢になります
  • ・ほかの歯にも不安がある方 … 将来ほかの歯を失ったときに、修理しながら使える設計の入れ歯が有利になることがあります
  • ・インプラントが難しいと言われた方 … 入れ歯の中で、残っている歯を守れる設計を選びます

奥歯の入れ歯に慣れるまで

やわらかい物から、少しずつ

これまで噛む力がかかっていなかった歯ぐきに、急に強い力がかかると、痛みや靴ずれのような傷ができることがあります。はじめはやわらかめの食事から始めて、少しずつ普段の食事に戻していきます。

痛いときは、我慢せずに調整を

痛いからといって入れ歯をはずしたままにしていると、かえって慣れるまでに時間がかかります。長くはずしていると、歯が動いて入らなくなることもあります。痛む場所があれば、我慢せずに早めに調整にお越しください。

話しにくいときは、声に出す練習を

上の入れ歯が上あごや前歯の裏側を覆う形の場合、サ行やタ行が話しにくく感じることがあります。本や新聞を声に出して読むと、舌が新しい形に慣れやすくなります。


当院の奥歯の入れ歯治療の進め方

  • 1.噛み合わせと支えの歯の診査…お口の型を採って咬合器という装置に取り付け、噛み合わせを確認します。レントゲンで、支えにする歯の根や骨の状態も調べます
  • 2.歯周病・むし歯の治療…支えの歯を健康な状態に整えます
  • 3.仮歯・仮の入れ歯…使いながら、噛みやすさや違和感を確認し、最終的な入れ歯の設計に生かします
  • 4.最終的な入れ歯の製作…精密な型取りをし、噛み合わせの確認と仮合わせを重ねて仕上げます
  • 5.完成後の調整と定期メインテナンス…支えの歯と入れ歯の状態を確認し続けます(理由は【入れ歯は入れて終わりではない】でご説明しています)

当院のドイツ式入れ歯の治療では、歯を抜く必要がある場合も、抜いたその日に仮の入れ歯をお入れします。歯がないまま過ごす期間はつくりません(【歯を抜いた日に入れ歯は入ります】)。ドイツ式入れ歯の種類と症例は、ドイツ式入れ歯(部分入れ歯)のページでもご覧いただけます。


自由診療の費用の目安(すべて税込)

保険の部分入れ歯は保険診療です。以下は自費をご検討になる場合の目安です。正確な金額は、診察と検査のうえでお見積りをお出しします。

項目 費用
無料メール相談 無料
来院相談(レントゲンでお口全体を確認) 5,500円
精密検査・治療計画・お見積り 33,000円
コーヌステレスコープ 1,810,000円〜4,120,000円
リーゲルテレスコープ 2,190,000円〜3,670,000円
レジリエンツテレスコープ(残っている歯が少ない場合) 1,650,000円〜2,970,000円
金属床の部分入れ歯 880,000円〜1,320,000円
  • ・上下両方のあごにドイツ式入れ歯を作る場合は、合計金額から10%を割り引きます
  • ・むし歯・歯周病の治療や抜歯が必要な場合は、別途保険診療の費用がかかります
  • ・完成後の調整は3回まで費用に含まれます。4回目以降の調整と、噛み合わせが安定したあとの定期メインテナンスは別途費用がかかります
  • ・お支払いは一括のほか、3回に分けてお支払いいただくこともできます
  • ・自由診療の費用は、医療費控除の対象になります

※2026年9月時点の費用です。改定する場合があります。

治療期間の目安

  • ・ドイツ式入れ歯 … およそ6か月〜1年(むし歯・歯周病の治療、抜歯後の治りを待つ期間を含む場合はさらにかかります)
  • ・金属床の部分入れ歯 … およそ6か月〜10か月(抜歯した場合はさらにかかります)

知っておいていただきたいリスク

  • ・慣れるまで時間がかかります…装着当初は、違和感や話しにくさ、歯ぐきの痛みが出ることがあります。慣れるまでの期間には個人差があります
  • ・ご自身の歯と同じようには噛めません…噛む感覚や力の加減は、ご自身の歯とは異なります
  • ・支えの歯に負担がかかります…歯の状態や設計によっては、支えの歯がぐらついたり、むし歯や歯周病になったり、根が割れたりすることがあります
  • ・ドイツ式入れ歯は支えの歯を削ります…削ったあと、しばらくしみることがあります
  • ・お手入れと定期的な検診が必要です…入れ歯と支えの歯の清掃を怠ると、むし歯や歯周病、口臭の原因になります
  • ・破損することがあります…落としたり強い力が加わったりすると、割れたり変形したりすることがあります
  • ・お口の状態によっては適さない方法があります…診査のうえで判断します
  • ・自由診療全般…保険が使えず、費用は全額ご負担になります。ごく一部の金属で金属アレルギーが生じることがあります

よくあるご質問

Q. 奥歯が1本だけないのですが、入れ歯にできますか

作ることはできます。ただし、支えにする歯や噛み合う相手の歯の状態によっては、向かない場合があります。また、一番奥の歯1本だけの場合は、入れ歯を入れないという選択肢もあります(【一番奥の歯1本を抜いた後の治療方法について】)。

Q. 部分入れ歯で、好きな物を食べられるようになりますか

慣れてくると、多くの物を食べられるようになります。ただし、入れ歯の種類や設計、残っている歯の状態によって、食べにくい物が残ることがあります。ご自身の歯と同じ噛み心地にはなりません。

Q. 寝るときは、入れ歯をはずさないといけませんか

部分入れ歯は、寝るときにはずしていただくのが基本です。ドイツ式入れ歯は、設計やお口の状態によって、つけたままお休みいただける場合があります。どちらの場合も、毎日の清掃は欠かせません。

Q. 相談だけでも大丈夫ですか

はい。その日に治療を決める必要はありません。院長が直接お答えする無料メール相談もご用意しています。


まとめ

  • 1.奥歯は、食べ物をすりつぶすだけでなく、噛み合わせの高さを支えて前歯を守っています
  • 2.奥歯の入れ歯には、保険の部分入れ歯、金属床、ノンクラスプデンチャー、ドイツ式入れ歯などがあります
  • 3.どれがよいかは、失った場所と本数、残っている歯の状態で変わります。一番奥の1本だけなら、入れない選択肢もあります
  • 4.残っている歯を長く使うには、支えの歯を横に揺さぶらない設計が大切です

「見えないから」と奥歯を後回しにしてこられた方も、まずは今のお口の状態を知ることから始めてみてください。残っている歯の状態を拝見し、考えられる方法と、それぞれの費用・期間・困る点をご説明します。

ご相談の流れ

  • 1.ホームページの予約フォーム、またはお電話でご予約ください
  • 2.今お使いの入れ歯があれば、お持ちください
  • 3.レントゲンでお口全体を確認し、今のお困りごとの原因と、考えられる方法をご説明します(来院相談 5,500円)
  • 4.考えられる治療それぞれの費用・期間・困る点をお伝えします。お持ち帰りいただき、ご家族とご相談のうえでお決めください

まずはメールでという方のために、院長が直接お答えする無料メール相談もご用意しています。


参考文献

  • ・日本補綴歯科学会.ノンクラスプデンチャーに関する現時点における(社)日本補綴歯科学会としての見解.
  • ・Fueki K, Ohkubo C, Yatabe M, et al. Clinical application of removable partial dentures using thermoplastic resin—Part I: definition and indication of non-metal clasp dentures. J Prosthodont Res. 2014;58(1):3-10.
  • ・Tada S, Ikebe K, Matsuda K, Maeda Y. Multifactorial risk assessment for survival of abutments of removable partial dentures based on practice-based longitudinal study. J Dent. 2013;41(12):1175-1180.

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応や結果には個人差があります。実際の診断・治療方針は、必ず歯科医師の診察を受けたうえでお決めください。

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イーストワン歯科本八幡

住所:千葉県市川市八幡3-19-1

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