【左右の奥歯がない方の入れ歯は?バネのないドイツ式テレスコープ義歯を解説】

query_builder 2026/07/22

左右の奥歯を失った場合、入れ歯はどのような形になるのでしょうか。金属のバネを使わないテレスコープ義歯(ドイツ式入れ歯)の仕組み・設計・費用・治療期間を、本八幡の歯科医師が症例写真とともに解説します。部分入れ歯のバネが気になっている方も、ぜひ参考になさってください。


左右の奥歯を失ったまま過ごしていませんか?


「右でも左でも、奥歯でしっかり噛めない」——この状態は、思っている以上にお口全体へ影響します。

奥歯は、食べ物をすりつぶす臼(うす)の役割を担う歯です。左右の奥歯を失うと、残った前歯だけで噛むことになりますが、前歯はもともと食べ物を「噛み切る」ための歯で、すりつぶす力を受け止める構造にはなっていません。前歯に過剰な負担がかかり続けると、前歯が揺れてきたり、出っ歯のように広がってきたりして、残っている歯まで失うリスクが高まります。

また、噛みにくいために食事がやわらかい物に偏ると、栄養バランスが崩れやすくなります。おせんべいやお漬物、お肉を避けるようになり、「食べられる物」を基準に献立を選ぶ生活になっていないでしょうか。


「バネの見える入れ歯」で笑うのをためらっていませんか


長年、ご家族の介護や子育てに時間を使い、ご自分の歯の治療は後回しにしてきた。痛くなったらその場しのぎの治療で済ませてきた——そうして気がつけば左右の奥歯がなくなっていた、という方は少なくありません。当院にも、同じ経過をたどって来院される方が多くいらっしゃいます。

保険の部分入れ歯を使っている方からよく伺うのは、こんなお悩みです。

・笑ったときに金属のバネ(クラスプ)が見えるのが恥ずかしい
・使ううちに緩んできて、食事のたびに外れそうになる
・バネをかけている歯が揺れてきた気がする
・旅行や会食に誘われても、食事のことを考えると気が重い



こちらの写真は保険治療の部分入れ歯です。上下の歯に金属のバネがかかっているのが見えますね。保険の入れ歯は費用を抑えられ短期間で作れる、大切な選択肢のひとつです。一方で、構造上バネが見えやすいこと、バネをかけた歯に負担が集中しやすいことは、保険の部分入れ歯の弱点でもあります。


こうしたお悩みに対する選択肢のひとつが、テレスコープ義歯(ドイツ式入れ歯)です。


テレスコープ義歯(ドイツ式入れ歯)とは——

バネを使わない部分入れ歯


テレスコープ義歯は、ドイツで発展した精密部分入れ歯の総称で、金属のバネを一切使いません。


<下に装着されているのがテレスコープ義歯です>




<内冠>



写真の症例は、テレスコープ義歯の中でも「コーヌステレスコープ義歯」と呼ばれるものです。仕組みはこうです。

1.ご自分の歯に「内冠(ないかん)」と呼ばれる金属の冠を装着します


2.入れ歯の側には「外冠(がいかん)」と呼ばれる冠が仕込まれています(写真では前歯の部分です)


3.この内冠と外冠が、ちょうど「茶筒と茶筒の蓋」のようにぴったりとはまり込み、摩擦の力で外れないように維持されます


茶筒の蓋を思い浮かべてみてください。スッと閉まるのに、逆さにしても落ちない。あの精密なはまり具合を、お口の中で再現するのがコーヌステレスコープ義歯です。バネで歯を「引っかける」のではなく、歯を冠で「包み込んで」支えるため、笑ったときに金属が見えず、支えの歯に横方向の負担がかかりにくいのが特長です。


左右の奥歯がない場合、どんな設計になるのか


「左右の奥歯がない場合」「上下ともに左右の奥歯がない場合」のテレスコープ義歯は、お一人おひとりで設計がまったく異なります。設計を決めるうえで最も重要なのは、残っている歯の状態です。具体的には、次の点を精密に診査します。


・歯の神経が残っているかどうか——神経のない歯は割れやすく、支えとしての設計に配慮が必要です
・歯周病の進行度——支えの歯の骨がどれだけ残っているかで、何本の歯で支えるかが変わります
・歯の生えている方向——傾いた歯をそのまま支えに使えるか、内冠の形で補正するかを判断します


同じ「左右の奥歯がない」というお口でも、残っている歯が6本の方と10本の方、神経のある歯が多い方と少ない方とでは、最適な設計は変わります。だからこそ、テレスコープ義歯は既製品的な発想では作れず、診査・診断に時間をかける必要があるのです。


精密な入れ歯は、フリーハンドでは作れません


コーヌステレスコープ義歯の「茶筒のような精密なはまり込み」を実現するには、歯科技工士の高度な技術に加えて、横型研磨機と呼ばれる専用の器械が必要です。内冠と外冠の壁の角度をわずかでも誤ると、きつすぎて外せない、あるいは緩くて維持できない入れ歯になってしまうため、決してフリーハンドでは作れません。

そのため、テレスコープ義歯の製作には時間がかかります。丁寧に工程を重ねる分、保険の入れ歯より治療期間は長くなりますが、その間は仮の歯をお使いいただきますので、歯がない状態で過ごすことはありません。仮の歯の段階で噛み合わせや見た目を確認しながら、本番の入れ歯に反映していきます。


しっかり噛めることは、これからの人生への投資です


精密に作られたテレスコープ義歯は、しっかり噛めることと、バネのない自然な見た目の両立を目指せる入れ歯です。

噛むことは、単に「食事ができる」以上の意味を持ちます。よく噛むことが脳への刺激となり、噛む機能の低下と認知機能の低下との関連を指摘する研究報告もあります。噛めない状態でやわらかい物ばかりの食事を続けることは、栄養面でも、心身の健康面でも、望ましいこととはいえません。

なにより、「何を食べようか」を献立の楽しみとして選べる生活と、「何なら食べられるか」で選ぶ生活は、日々の充実感がまったく違います。介護や子育てがひと段落し、これからはご自分の時間を大切にしたい——そんな方にこそ、お口の環境を整えることは、旅行も会食も気兼ねなく楽しむための、ご自分への投資だと考えています。


費用・治療期間・リスクについて


テレスコープ義歯は保険適用外の自由診療です。当院の部分入れ歯(テレスコープ義歯)の費用目安は132万円〜396万円(税込)で、残っている歯の本数や設計により異なります。


掲載写真の症例の概要は次のとおりです。

治療内容:コーヌステレスコープ義歯(下の左右奥歯 計7本欠損、7本の歯に内冠を装着)
治療期間:約12か月(抜歯後の治癒期間を含む)
費用:2,376,000円(税込)

※治療当時の費用です。現在の費用と異なる場合があります。
リスク・副作用:支えとなる天然の歯を削る必要があります。

清掃が不十分な場合、支えの歯が虫歯や歯周炎になる可能性があります。装着後も定期的な検診とクリーニングが必要です。


なお、費用を抑えたい場合や治療期間を短くしたい場合には、他の金属床部分入れ歯(自費となります)も選択肢になります。それぞれの利点と欠点をご説明したうえで、患者さまのご希望とお口の状態に合った方法を一緒に考えますので、「自費の治療を勧められるのでは」とご心配なさらずにご相談ください。


まずは、あなたのお口の場合の「設計」を聞きにいらしてください


ここまでお読みいただいた方の中には、「自分の残っている歯でもテレスコープ義歯はできるのだろうか」と気になっている方もいらっしゃると思います。

その答えは、残っている歯の神経・歯周病の状態・歯の方向を診査してみなければ、歯科医師にも分かりません。逆にいえば、診査をすれば「あなたのお口の場合の設計」を具体的にご説明できます。他院でインプラントは難しいと言われた方も、残っている歯を活かす設計ができる場合がありますので、あきらめる前に一度ご相談ください。

ご相談のご予約は、ホームページまたはお電話で承っています。「ブログを読んだ」とお伝えいただければ、左右の奥歯がない場合の入れ歯について、写真や模型を使いながらご説明いたします。

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イーストワン歯科本八幡

住所:千葉県市川市八幡3-19-1

京成八幡WESTCOURT 2F

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