【前歯の入れ歯を選ぶ際の5つのポイント】現役歯科医師が解説します

query_builder 2023/08/15

前歯を失うと特に上の前歯がないと

見た目が悪い

発音時に空気が漏れる

食べ物が噛み千切れない

など日常生活上不便なことが多いので早く治したいものです。

 

この記事では治療法のひとつである「入れ歯」について解説します。

目次

1章 前歯の入れ歯を選ぶ際の5つのポイント

2章 前歯の入れ歯の種類と特徴

3章 前歯の入れ歯のメリット、デメリット

4章 まとめ

1章 前歯の入れ歯を選ぶ際の5つのポイント

どのような点に気を付けて入れ歯を選ぶと良いのかを解説します。

1-1 見た目が「入れ歯」と気づかれにくいか

歯を失った部分に入れ歯を装着することによって見た目を改善することができます。

一般的な入れ歯は残っている歯に金属のバネ(クラスプと呼びます)を掛けて入れ歯を外れないようにします。

従って一般的な入れ歯は金属のバネ(クラスプ)が見えてしまうため見た目を改善することが困難な場合もあります。

1-2 発音に慣れるか

私達が話す時、舌が上あごに接触することにより発音します。

特にさ行、た行は舌の先が前歯の裏側に接触して発音するので

入れ歯でその部分を覆うと最初は違和感を感じ発音しにくくなります。

ただし次第に慣れて発音できるようになりますのでご安心下さい。

新聞や本などを音読したり入浴時に歌を歌うなどたくさん発声することにより早く慣れることができます。

1-3 噛みちぎれることができるか

前歯の機能的な役割のひとつは「噛みちぎること」です。

入れ歯は歯茎の上に乗っかているだけなので噛むことによって入れ歯が動いてしまいます。

噛みちぎるためには健康な残っている歯で入れ歯を支えます。

1-4 残っている歯への負担が少ないか

入れ歯を外れないようにするには残っている歯に支えを求めます。

その支えの力や力のかかる方向が支える歯の負担の限界を超えると歯のぐらつき

神経のない歯の場合は歯の根が割れることがあります。

なるべく残っている歯に負担のかからない入れ歯が良いでしょう。

1-5 修理ができるか

入れ歯を支えている歯が抜けてしまう、入れ歯にひびが入るなどのトラブルの度に新しく入れ歯を作らず

修理して使用できる入れ歯が良いでしょう。新しく入れ歯を作ると痛みが出る場合が少なくありません。

慣れている入れ歯を修理したほうが痛みが少ないです。

2章 前歯の入れ歯の種類と特徴

前歯の入れ歯にはいくつか種類があります。

こちらの章では主に4つの入れ歯について解説します。

2-1 一般的な入れ歯(保険)

残っている状態の良い歯に金属のバネ(クラスプと呼びます)を掛けて入れ歯を外れないようにする入れ歯です。

歯のない部分の歯茎にレジンと呼ぶピンク色のプラスチックの床(しょう)を覆いその上に人工歯を張り付けます。

入れ歯が割れる、金属のバネ(クラスプ)が折れるなど壊れた場合は修理が可能です。

金属のバネ(クラスプ)は入れ歯を使用していると金属疲労の為に折れることがあります。

見た目に金属のバネ(クラスプ)が目立つこともあります。

また金属のバネ(クラスプ)を掛けている歯は揺さぶられるためにぐらついてくることがあり

早期に抜けてしまうことがあります。

2-2 テレスコープ義歯(自費)

テレスコープ義歯は入れ歯を支える歯に二重冠構造を仕込み入れ歯を外れないようにする入れ歯です。

ドイツ式入れ歯とも呼びます。

主に「コーヌステレスコープ」「リーゲルテレスコープ」「レジリエンツテレスコープ」の3種類あります。

前歯の欠損の場合は「コーヌステレスコープ」「リーゲルテレスコープ」が適応になることが多いです。

「コーヌステレスコープ」はお茶筒の蓋と胴体の仕組みと同じようなもので入れ歯を外れないようにしています。

テレスコープ義歯は金属のバネ(クラスプ)を使用しないので見た目が自然で残っている歯を守りながら使用できます。

床(しょう)は金属のプレートを使用するので一般的な入れ歯より薄くでき違和感が少ないです。

入れ歯とご自分の歯の両方を磨き装着したまま就寝できますので衛生的です。

支えの歯が抜歯となった場合は修理可能なことが多いです。

2-3 金属床の部分入れ歯(自費)

金属床の部分入れ歯は金属のバネ(クラスプ)を残っている歯に掛けて入れ歯を外れないようにしています。

金属のバネ(クラスプ)にはいくつか種類があり一般的な入れ歯では使用できないクラスプがあります。

その中のひとつRPIクラスプは目立ちにくくなるべく歯に負担をかけない形のものです。(歯によっては作れない場合もあります。)

このクラスプを掛ける歯に被せ物とクラスプをセットで作ることにより精密なものができます。

床(しょう)の部分に金属のプレートを使用するので一般的な入れ歯より薄くでき違和感が少ないです。

修理が困難な場合が多いです。

 

2-4 ノンクラスプデンチャー(自費)

自費の入れ歯として多くの歯科医院で患者様にお勧めしているものではないでしょうか?

一般的な入れ歯の金属のバネ(クラスプ)がピンク色の床(しょう)と一体化になっている入れ歯です。

ピンク色の床(しょう)は特殊な樹脂でできており弾力があります。

この弾力を利用して入れ歯を外れないようにしています。

金属のバネ(クラスプ)を使用しないので目立ちにくいです。

床(しょう)に使用される樹脂は劣化が早いので2,3年で変色したり臭いや汚れを吸着します。

汚れを吸着しやすいということはそこにばい菌が繁殖しやすいということです。

飲み込むたびにそのばい菌を体内に入れていることになり身体に悪影響を及ぼしかねません。

また「誤った設計をすると歯を失った顎の骨の異常吸収、バネを掛けている歯の移動やぐらつきなど障害を惹起する。」

と日本補綴歯科学会が警鐘を鳴らしています。


3章 前歯の入れ歯のメリット、デメリット

3-1 前歯の入れ歯のメリット

・見た目を改善できる

・修理が可能な入れ歯もある

・取り外して洗えるので衛生的

3-2 前歯の入れ歯のデメリット

・慣れるまで時間がかかる

・ブリッジやインプラントに比べ目立つことがある

4章 まとめ

前歯の入れ歯を選ぶポイントは

1,見た目が「入れ歯」と気づかれにくいか

 2,発音に慣れるか 

3,噛みちぎることができるか 

4,残っている歯への負担が少ないか

 5,修理が可能か  

です。

入れ歯の種類は様々ありそれぞれメリット、デメリットがありますので

ご自身のご希望と近いものを選択し実際にそれが適しているのか歯科医院でご相談下さい。

こちらの記事を歯科医院でご相談する際の参考にご活用下さい。

当院では「テレスコープ義歯」(ホームページではドイツ式入れ歯となります。)の治療を行っております。

関心のある方は下記のリンクをご覧ください。

 

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