【50代60代で歯がボロボロ】怖くて歯医者に行けない方へ|原因と、どこから治すか

query_builder 2026/05/20

50代60代で歯がボロボロになり、怖くて歯医者に行けないまま何年も過ごしている方へ。更年期のホルモン変化や糖尿病との関わりも含めて、この年代で歯が悪くなる理由と、どこからどう治していくのかを、市川市本八幡の歯科医師がまとめました。

「口の中を見せるのが怖い」まま抱えていませんか

口の中がひどい状態になっているのはわかっている。でも怖くて歯医者に行けない。鏡で見るのも嫌になった。そんな気持ちを、ひとりで抱えていませんか。

次のようなことに、当てはまるものはありませんか。

  • □ 鏡で自分の歯を見るのがつらい
  • □ もう何年も歯医者に行っていない
  • □ 見せたら怒られる、呆れられる気がする
  • □ 奥歯が欠けたり、前歯がぐらぐらしている
  • □ 硬いものが噛めず、柔らかいものばかり食べている
  • □ 友人との食事や旅行のお誘いを、歯のことを理由に断ってしまう

この記事は、恥ずかしい、怖いという気持ちはそのままでよいので、まず放置するとどうなるのかを知っていただき、今からでも整えられるという見通しを持っていただきたいという思いで書きました。


50代60代で歯が悪くなる理由

「自分の管理が悪かったから」「サボっていたから」と、自分を責めていませんか。それだけが理由ではありません。50代60代の女性が歯の問題を抱えやすいのには、体の変化や暮らしの積み重ねが関わっています。

更年期のホルモン変化

更年期は、エストロゲン(女性ホルモン)が大きく変化する時期です。エストロゲンの減少が、唾液の分泌量や歯ぐきの状態、あごの骨の代謝に影響することが複数の研究で報告されています。唾液が減ると口の中が乾きやすくなり、歯周病が進みやすい環境になります。免疫の働きにも変化が生じるとされていますが、単純に弱くなると言い切れる段階ではなく、体のバランスが変わる時期だと捉えていただくのがよいと思います。

「若い頃はこんなことはなかったのに、最近急に歯が悪くなった気がする」という感覚は、気のせいではなく、こうした体の変化が背景にある可能性があります。

若い頃の詰め物・被せ物が寿命を迎える

虫歯の詰め物や被せ物は、一生持つものではありません。20〜30年前に治療した歯は、ちょうど「寿命」を迎える時期にあたります。詰め物の隙間から二次的な虫歯が進んでいたり、神経を抜いた歯の根が年月を経てもろくなり、割れてしまっていたりすることがあります。50代で急に口の中の状態が悪くなったと感じる方の多くは、若い頃の治療がいくつも同時に限界を迎えているケースが少なくありません。

忙しさで後回しにしてきた積み重ね

仕事、家事、子育て、親の介護——50代の女性は、自分のことを後回しにしがちな時期を長く過ごしてきた方が多くいらっしゃいます。痛みが出ても「忙しいから、また今度」と先延ばしにし、気づけば何年も歯科に通っていなかった。そうしているうちに、治療が必要な歯が増えていく。このパターンは、当院にご相談いただく方の中にも本当に多く見られます。

「こんな口の中ですみません」と申し訳なさそうにご来院される方がいらっしゃいますが、謝ることは何もありません。仕事も家庭も精一杯で、自分の歯を後回しにしながら過ごしてこられた。その中で、勇気を出してご相談にいらしてくださった。それだけで十分なことだと、私たちは思っています。


同じ年代の方の歯の本数

ご自分の歯が何本残っているか、把握していますか。親知らずを除くと、歯は上下合わせて28本あります。厚生労働省が行った令和4年歯科疾患実態調査(口腔診査を受けた方を対象にした標本調査)では、年代別の1人平均現在歯数が次のように報告されています。

年齢階級 1人平均現在歯数 被調査者数
50〜54歳26.4本155人
55〜59歳26.5本137人
60〜64歳24.8本177人
65〜69歳23.8本220人
70〜74歳21.0本305人

この調査は、年齢階級ごとに100〜300人台の方を対象にした標本調査であり、実際には個人差が大きくあります。それでも、50代で1〜2本、60代で3〜4本の歯を失っている方が一定数いらっしゃることが分かります。あなただけが特別に歯を失っているわけではありません。


歯を失う原因の順番

歯を失う原因について、公益財団法人8020推進財団が全国の歯科医院を対象に行った調査(2018年、抜歯数8,003本)では、原因の割合は歯周病が37.1%で最も多く、次いでむし歯(う蝕)が29.2%、歯の破折が17.8%という順でした。

ここで知っていただきたいのは、歯周病もむし歯の初期も、痛みをほとんど感じないまま進行するということです。歯ぐきが腫れ、歯を支える骨が少しずつ失われていても、痛くないから大丈夫だと思っている間に進行してしまいます。ある日突然、歯がぐらぐらして食べられなくなるという状態は、実はその前から静かに進んでいた結果であることが多いのです。


放置し続けるとどうなるか

歯が悪い状態を放置すると、次のようなことが起こりえます。

治療の選択肢が、時間とともに減っていきます。歯の状態が悪化するほど、選べる治療の幅は広がるのではなく、逆に狭まります。「今なら歯を残せる」状態が、半年後には「抜くしかない」状態に変わることがあります。早く相談するほど、選べる治療方法が増え、残せる歯も増えます。

お口の状態は、全身の健康とも関わっています。糖尿病がある方では、歯周病の基本的な治療(歯石除去など)によって血糖値の指標であるHbA1c(ヘモグロビンA1c)が改善することが、日本歯周病学会のガイドラインで強く推奨されています。歯周病と糖尿病は、互いに影響し合う関係にあるとされています。また、歯周病と心疾患、認知症との関連を報告する研究もありますが、これらは「関連が報告されている」という段階であり、原因と結果の関係がはっきり確立されているわけではありません。

歯を失った状態を放置すると、将来的に要介護状態になりやすいという報告もあります。日本の高齢者を対象にした複数の追跡調査で、歯の本数が少ない方や、歯を失ったまま義歯を使っていない方は、日常生活に介助が必要になる状態へ移行しやすいことが示されています。今のうちに整えておくことには意味があります。


歯科医師は「ひどい」と思うのか

「こんな口の中を見せたら、先生に呆れられるのではないか」——そう思って足が遠のいている方に、お伝えしたいことがあります。

歯科医師が患者様のお口の中を診て、診察中に考えていることはただひとつです。「どこから、どう治すか」。それだけです。お口の中の状態がどのようであっても、それを責める歯科医師はいません。そんなことを考えている余裕はありませんし、そもそも様々な状態のお口を診るのは日常のことです。驚くこともなければ、恥ずかしいと思う必要のあるお口の中など存在しません。


院長は女性歯科医師です

当院の院長は女性歯科医師です。院長自身も50代を迎えており、更年期のホルモン変化や、忙しさで自分のことを後回しにしてしまう感覚を、同じ世代として理解しています。お口の中を見せることへの気持ちは人によって異なりますが、そうした思いも含めてお話を伺いながら、診療を進めています。


どこからどう治すか(治療の流れ)

お口の中の状態がどうであれ、実際にはどのような流れで治療が進むのか分からないという方が多くいらっしゃいます。当院での一般的な治療の流れをご紹介します。

  • 1.カウンセリング(現状の確認):今のお悩みや、今後どうなりたいかを伺います。レントゲンやお口の中を診て、どこに問題があり、どう治していくかをお伝えします。必要に応じて噛み合わせの精密な検査を行い、治療の流れとお見積りをご説明します
  • 2.歯周病の治療:歯石を取り除き、歯ぐきの状態を整えます。歯ぐきの状態を整えることは、その後の治療を安定させるための土台になります
  • 3.むし歯・根の治療:歯の状態に合わせて、むし歯の治療や歯の根の治療を行います
  • 4.仮の歯の装着:お口の中全体を治療する場合は、仮の歯で噛み合わせを整えながら進めます
  • 5.失った歯の回復:抜歯が必要な歯や、すでに失っている歯には、治療計画に基づいて歯を補う治療を行います(くわしくは次の章でご紹介します)
  • 6.定期メインテナンス:治療が終わったあとは、3〜4か月ごとの定期的なクリーニングと確認、調整を行います

治療の選択肢は状態によって変わる

歯を補う治療は、残っている歯の本数や状態によって選べるものが変わります。ここでは代表的な選択肢と、詳しくまとめた記事をご紹介します。

歯が1本も残っていない場合は、総入れ歯が対象になります。当院の自費の総入れ歯については、詳しくはドイツ式入れ歯(総入れ歯)のページやこちらの記事にまとめています。入れ歯にはいくつかの種類があり、こちらの記事で種類ごとの特徴を紹介しています。

総入れ歯(上あご、噛み合わせ側から見た写真)

歯が1〜3本ほど残っている場合は、その歯を土台として活かせることがあります。こちらの記事で、残っている歯を活かした入れ歯(レジリエンツテレスコープ)についてご説明しています。もう少し歯が残っている場合は、金属のバネを使わないテレスコープ義歯や、金属床義歯という選択肢もあります。テレスコープ義歯にはメリットだけでなく知っておきたい点もあり、こちらの記事で詳しくまとめています。仕組みや種類はドイツ式入れ歯(部分入れ歯)のページもご覧ください。

残っている歯を土台にした入れ歯の内冠(下あご) 金属の部分入れ歯と内冠

他院で「インプラントができない」と言われた方には、入れ歯という選択肢もあります。理由別の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。保険診療の入れ歯にも役割があります。まず保険の入れ歯で十分かどうかから考えたい方はこちらの記事、噛めないまま柔らかいものしか食べられない状態が続いている方はこちらの記事もあわせてご覧ください。


症例のご紹介

当院で行った症例をご紹介します。80代の方の例です。この記事をお読みの50代60代の方とは年齢が異なりますが、総入れ歯治療の一例としてご紹介します。

治療前の歯列(前歯付近に変色した歯と金属のバネが見える様子) 治療後の歯列(上下の総入れ歯を装着し、正面から見た様子)
  • ・治療内容:上下の総入れ歯
  • ・治療期間:約12か月(抜歯後の治癒期間を含む)
  • ・費用:2,220,000円(治療当時)
  • ・リスク:あごの骨がやせるとともに、入れ歯がゆるくなることがあります/食べ方の工夫が必要です/慣れるまで違和感があります/定期的な調整と検診が必要です

※治療当時の費用です。現在の費用は診察のうえでご案内します。※自由診療(保険適用外)です。


費用と治療期間の目安(すべて税込・自由診療)

正確な金額は、診察と検査のうえでお見積りをお出しします。最新の料金は料金ページでご確認いただけます。

項目 費用
無料メール相談無料
来院相談(パノラマレントゲンでお口全体を確認)5,500円
精密検査・治療計画・お見積り33,000円
総入れ歯(上下)2,750,000円
総入れ歯(片顎のみ)1,430,000円
コーヌステレスコープ1,810,000円〜4,120,000円
リーゲルテレスコープ2,190,000円〜3,670,000円
レジリエンツテレスコープ(残っている歯が少ない場合)1,650,000円〜2,970,000円
金属床義歯(部分入れ歯)880,000円〜1,320,000円
  • ・むし歯・歯周病の治療や抜歯が必要な場合は、別途保険診療の費用がかかります
  • ・完成後の調整は3回まで費用に含まれます。4回目以降の調整と、噛み合わせが安定したあとの定期メインテナンスは別途費用がかかります
  • ・自費診療の費用は、医療費控除の対象になります(詳しくは国税庁の案内をご確認ください)

※2026年9月時点の費用です。改定する場合があります。

治療期間の目安

  • ・テレスコープ義歯・自費の総入れ歯…およそ6か月〜1年
  • ・金属床の部分入れ歯…およそ6か月〜10か月(抜歯した場合は、さらにかかります)

知っておいていただきたいリスク・副作用

  • ・支えにする歯がある場合は、その歯を削る処置が必要になることがあります
  • ・慣れるまで時間がかかります…違和感や話しにくさを感じることがあります
  • ・調整や作り直しが必要になることがあります…あごの骨は年月とともにやせていくため、裏打ちや調整が必要になります
  • ・清掃が不十分だと、支えにしている歯がむし歯や歯周病になることがあります
  • ・保険診療に比べて費用が高く、治療期間も長くなります
  • ・持病やお薬がある方…抜歯などの処置は内科の主治医と連携しながら進めます
  • ・装着後も、定期的な検診が必要です

よくあるご質問

Q. 何年も歯医者に行っていませんが、診てもらえますか

もちろんです。久しぶりであることを気にする必要はありません。まずは今の状態を確認させてください。

Q. 全部抜くことになるのでしょうか

お口の状態を拝見してから判断します。残せる歯は、できるだけ残す方向で計画を考えます。診察前から「全部抜く」と決まっているわけではありません。

Q. 費用が心配です

まずはお口の状態を拝見し、いくつかの選択肢と、それぞれの費用・期間をご説明します。その場で治療を決めていただく必要はありません。

Q. 相談だけでもよいですか

はい。院長が直接お答えする無料メール相談もご用意しています。診察やレントゲン撮影は行いません。

Q. 更年期や糖尿病がありますが、治療できますか

更年期や糖尿病があっても、多くの場合治療の選択肢はあります。糖尿病がある方は、血糖の管理状況を確認しながら、内科の主治医と連携して進めます。


まとめ

  • 1.50代60代で歯が悪くなりやすいのは、更年期のホルモン変化、若い頃の治療が寿命を迎える時期、忙しさで後回しにしてきた積み重ねが関わっています
  • 2.同じ年代の中で、歯を何本か失っている方は少なくありません
  • 3.歯を失う原因は歯周病が最も多く、痛みがないまま進行します
  • 4.放置すると治療の選択肢が減り、全身の健康とも関わってきます
  • 5.歯科医師が診察中に考えているのは「どこから、どう治すか」だけです
  • 6.治療は、カウンセリングから歯周病治療、むし歯や根の治療、仮の歯、失った歯の回復、定期メインテナンスという流れで進みます

「歯がボロボロで恥ずかしい」という気持ちを抱えたまま、今日まで過ごしてこられたことと思います。まずはお口の状態を知ることから始めてみませんか。

ご相談の流れ

  • ・無料メール相談:院長が直接メールでお答えします。診察・レントゲン撮影は行いません
  • ・来院相談(5,500円):パノラマレントゲンでお口全体を確認し、概算の治療計画(治療法・おおよその費用・期間)をご説明します

ご予約はホームページまたはお電話から承っています。


参考文献

  • ・厚生労働省. 令和4年歯科疾患実態調査結果の概要. 表17「1人平均現在歯数」. 2023年.
  • ・公益財団法人8020推進財団. 第2回永久歯の抜歯原因調査報告書. 2018年11月.
  • ・日本歯周病学会. 糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン 改訂第3版. 2023年.
  • ・Tran AH, et al. Periodontal Disease and Atherosclerotic Cardiovascular Disease: A Scientific Statement From the American Heart Association. Circulation. 2026;153(6):e73-e88.
  • ・Nadim R, et al. Influence of periodontal disease on risk of dementia: a systematic literature review and a meta-analysis. Eur J Epidemiol. 2020;35(9):821-833.
  • ・Yamamoto T, et al. Association between self-reported dental health status and onset of dementia: a 4-year prospective cohort study. Psychosom Med. 2012;74(3):241-248.
  • ・Butera A, et al. Oral Health Across the Menopausal Transition: Biological Pathways, Clinical Implications, and Future Perspectives. J Clin Med. 2026;15(15):5757.
  • ・Aida J, et al. Association between dental status and incident disability in an older Japanese population. J Am Geriatr Soc. 2012;60(2):338-343.
  • ・Matsuyama Y, et al. Dental Status and Compression of Life Expectancy with Disability. J Dent Res. 2017;96(9):1006-1013.

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応や結果には個人差があります。実際の診断・治療方針は、歯科医師の診察を受けたうえでお決めください。持病やお薬に関する判断はご自身の主治医にご確認ください。

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